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 食べ物以外では、名古屋のラーメンチェーン「スガキヤ」のラーメンを頼むと添えられてくる「ラーメンフォーク」がユニーク。スープを飲むためのスプーンと、麺を食べるためのフォークが合体した食器ですが、スプーンの先からフォークの歯がニョキッと出ているんですよ。これもありそうでない組み合わせの商品です。

 名古屋発の企業はこうしたユニークな組み合わせに寛容というか、楽しむ文化があるような気がしています。例えば、「遊べる本屋」のヴィレッジヴァンガードは、書店なのに雑貨やおもちゃ、お菓子や衣服なども売る“カオスな店内”が面白いですし、「カレーハウスCoCo壱番屋」は、豊富なトッピングを利用して「自分だけの組み合わせ」を楽しめます。

 え? 質問? 「なぜほかの地域でなく名古屋なのか」ですか。 うーん…。東京と大阪の間にあるから“いいとこ取り文化”が育まれたのでしょうか。様々な仮説を思いつくのですが、はっきりは分かりません。名古屋出身の方ならお分かりになるのでしょうか。もしご存知の方がいましたら、教えてください。

嶋 浩一郎(しま・こういちろう)
博報堂ケトル社長・共同CEO。カルチャー誌「ケトル」編集長。1968年生まれ。93年博報堂入社。企業のPR活動に携わり、2002年から04年に博報堂刊「広告」編集長を務める。04年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。著書は『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー携書)など多数。(写真:室川イサオ)

名古屋人を見習おう!

 さて、どうでしょう。名古屋人ってすごくないですか?

 名古屋人は好奇心をストレートに形にしちゃうすごい才能がある。イノベーションは、面白い組み合わせをたくさん考え、試し、失敗した先にしか生まれません。だから、「斬新なアイデアを考えたい」「これまでにない商品を作りたい」と思っているなら、名古屋人の「組み合わせ術」を見習うといいと思います。

 理想は「こんなんできちゃいました。どうでしょう?」と言い合える職場ですが、なかなかそれは難しい。それでも、会議であり得ないような組み合わせのアイデアが出た時に「面白そうだね。検討してみようか」ぐらいは言えるはずです。頭ごなしに「それはないでしょ、普通」と言わないようにしましょう。ちょっとおかしなアイデアを許す“余裕”があるといいですね。その方がイノベーションが生まれやすくなるし、職場も明るくなります。