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「『超』整理手帳」の考案者であり一橋大学名誉教授の経済学者・野口悠紀雄さんは、紙の手帳の重要性を長年説き続けてきた1人。そんな野口さんが大反省した手帳にまつわる失敗談とは?
(聞き手=日経ビジネスアソシエ編集部 上岡 隆/写真=稲垣 純也)
野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)氏
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。経済学者。「『超』整理手帳」考案者。1940年生まれ。63年に東京大学工学部を卒業し64年に大蔵省(当時)入省。東京大学教授、米スタンフォード大学客員教授などを経て現職。近著に『異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか』(日本経済新聞出版社)、『仮想通貨革命で働き方が変わる』(ダイヤモンド社)がある(ともに10月発売)。

「紙の手帳はもう使わなくなった。スケジュール管理は会社で使っているグループウエアで十分」という人が増えています。“紙の手帳離れ”についてどうお考えですか。

 デジタルの手帳と紙の手帳、それぞれに得意・不得意があるので、そこを理解してうまく併用するといいと思います。

 決めた予定を正しく実行する分には、グループウエアで十分です。けれども、それはあくまで予定を入れて“実行”しているだけ。時間管理で大切なのは、予定を“作る”こと。それには紙の手帳の方が向いています。

デジタルだと先々のスケジュールを考えにくい

「予定を作る」というのは、どういうことでしょうか。

 ある一定期間で何をすべきか、自分で決めて予定を入れていくこと。予定を計画して巧みにコントロールするという意味です。

 パソコンでもスマートフォンでも、画面上でスケジュールを管理している人は、毎日の細かい予定に目がいきがちで、1~2カ月先のスケジュールまで確認しない人が多い。そうなると、「予定をこなしていくだけ」という受け身の仕事になる。予定に流されてしまいます。

近視眼的になって、中長期視点で予定を組めなくなる?

 そうです。デジタル管理の場合に顕著ですが、紙の手帳でも同じ。見開き1週間のタイプの手帳は、今週のページだけを見て予定を組む人が多い。見ても翌週ぐらいでしょうか。

 1カ月を俯瞰できるページも、その月の予定ばかり見ています。先々のスケジュールを考慮していないのです。1996年に8週間分を俯瞰できる「『超』整理手帳」を考案したのは、この問題に対処するためです。

(1)野口さんが愛用する紙の手帳は、自身が考案した「『超』整理手帳」。ジャバラ式の折り畳んだページを広げれば8週間分の予定を俯瞰できるため、中長期の視点で予定を計画できる(2)野口さんはすべての予定をGoogleカレンダーに集約。スマホの「『超』整理手帳」アプリ(メンテナンスの事情で現在はダウンロード不可)で確認している(3)紙のメモ帳は手放し、メモは主にスマホから音声入力で書く