「世界基軸通貨」になる可能性

ビットコイン誕生後、様々な仮想通貨が登場しています。ほかの仮想通貨がビットコインを上回る存在になる可能性はありますか。

 通貨は、多くの人が利用していて、交換が容易である(汎用性がある)ところに価値があります。最初に登場したビットコインは、すでに多くの人が利用している。人が人を呼び、利用者が増え続けるサイクルが確立しています。よほど利便性の高い仮想通貨が現れたり、ビットコインの信用が根本から揺らぐ問題でも発生したりしない限り、ビットコイン一強体制は続くのではないかと思います。

情報サイト、CoinMarketCapのデータを基に、日経ビジネス アソシエ編集部で作成。数字は2017年9月28日時点
情報サイト、CoinMarketCapのデータを基に、日経ビジネス アソシエ編集部で作成。数字は2017年9月28日時点
[画像のクリックで拡大表示]

では今後、ビットコインが法定通貨をも凌駕し、世界基軸通貨になる可能性はいかがでしょう。

 少なくとも円やドルといった安定した通貨をビットコインが凌駕するようなことはあり得ないと思います。国は納税や賃金の支払いなどにおいて、法定通貨を使うことを義務付けている。また、ビットコインの影響で法定通貨の価値が揺らぐ恐れがあると判断すれば、国家は利用を制限することでしょう。9月半ばにも中国がビットコインの取り締まりを強め、取引所の閉鎖が伝えられたことで価格が一時暴落しましたね。

結局、単なる新しい電子マネーということになりますか。

 いいえ。ビットコインの誕生が世界の金融界に与えた影響は計り知れません。特に、ビットコインの基盤技術として登場したブロックチェーンと呼ばれる技術は画期的で、様々な応用展開が期待されています。また、国家がデジタル通貨を発行しようという動きも出てきています。

 すでに具体的な検討を進めているのがスウェーデンで、順調にいけば2020年頃には実現するかもしれません。中国などでも具体化に向けて検討が本格化しています。これらの取り組みが成功すれば、他国でも現金のあり方を見直す動きが加速していくのではないでしょうか。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。