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数値目標を達成しても、バリューを軽視していたら高く評価しない

 バリューを実践できているもっと本質的な理由は、「人事評価の基準」にバリューを組み込んでいることです。どのように働けば会社は評価するのかを、社員の皆に明快に示しています。例えば、ある社員が数値目標を達成したとします。「パフォーマンス」(評価制度の1つ、OKR)としては評価しますが、チームワークを生かさなかったり、乱したりしたうえでの結果なら、「All for One」の観点で「欠けている」と判断し、トータルとしては高く評価しません。「人事評価ではバリューも重視し、数字というアウトプットだけが重要なのではない」という方針です。

 3つのバリューを達成するバランスも重要で、いずれかが欠ければ高い評価をつけません。仮に、エンジニアが極めて高い専門スキルを身につけても(Be Professional)、チームの一員として動く(All for One)ことができなければ、「このままではメルカリに合わない」と判断せざるを得ない。誤解のないように言いますが、「人としていい、悪い」ではなく、「メルカリに合う、合わない」の話です。

 社員の皆には、バリューに沿った自己評価を四半期ごとに提出してもらっています。例えば、シートの「Go Bold」の欄には「大胆にできたことや、結果から学んだこと」を書く。大胆にやった結果の失敗は会社としてウエルカムで、きっと学びがあるはず。問題は「書くことがない」事態です。ただ当社では、「空欄では会社に評価されない」という意識や健全なプレッシャーを全社員が共有しているので、日々の行動は自然と変わっていきます。

 新卒・中途入社の採用基準にもバリューを組み込んでいて、応募者の方に担当者は3つの軸で評価をつけます。つまり、バリューに共感していない人はそもそも入社しないし、できない仕組みです。

 社員には、これまでバリューを信じて行動に移してきたら、会社として大きな成果を出してきたという自負があります。一人ひとりのマインドが、「これからもバリューを信じ続けよう」とポジティブである点も特徴です。

 このように、採用から社員の行動・マインド、評価基準、そして我々経営陣の意思決定まで、バリューという“1本の軸”が通っているのは大きな強みですね。

 3つのバリューはどれも本当に重要ですが、特に「Go Bold」を大切にしています。口で言うのは簡単ですが、実際に「大胆にやる」のは非常に難しく、うまくいっている時はなおさらリスクを取らない傾向が強まります。どんな優秀な社員にも必ず“現状維持バイアス”がかかるので、現場で躊躇するシーンを見たら、基本的に「Go Boldにいこう!」と皆の背中を押すようにしています。これも経営陣が果たすべき大事な役割です。

 そこで役立っているのが、先ほどお話しした「Slack」です。チャンネルのほとんどを社内でオープンにしているので、経営陣は現場で下される意思決定を把握できる。そして現場も経営陣が持つ情報にほとんどコンタクトできるので、オープンな場でGo Boldに経営判断していくことになる。情報の透明性が、会社全体を大胆な方向に導くのに一役買っているのです。