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ミクシィでの苦い経験

証券会社時代にIPOを担当したミクシィへ、後に転職。20代後半で、執行役員CFOとして経営陣に名を連ねた

 実はこれら3つのバリューの策定は、2013年に当社に入社した私が最初に手を着けた仕事。というのも、かつてCFOを任せてくれたミクシィでの苦い経験があったからです。

 ミクシィは皆さんご存じの通り、非常に強力なプロダクトで成功した企業です。残念ながら、会社の目的やその達成のために求められる価値観を社員に明確には示すことができなかったのですが、優れたプロダクトが“代弁”して、うまくいっていました。言い換えれば、「『プロダクトの成功』がミッションで、それを実現させるために必死にやっていく」状態だったのです。

 ただし、どんなに素晴らしいプロダクトにもライフサイクルはある。振るわない局面を迎えると、ある社員は「こっちの方がいいのでは?」と主張し、別の社員は「いや、あっちでは?」と言い出して組織がバラバラになる状況に陥りやすい。

 「会社を永続的に成長させるにはどうすればいいか?」と考え尽くして、1つの結論にたどり着きました。「会社は何のために存在するのか。そのためにどんな行動を取るべきか」を定め、社員全員に共感・納得してもらう必要があると思ったのです。その当時の反省から生まれたのが当社のバリューなので、とてもこだわっています。

バリューの社員への浸透度は高い。プリントしたグッズを積極的に作っていることも、その理由の一つ。シールをパソコンに貼ったり、Tシャツを着たりする社員をオフィスで見かけるのも珍しくない(写真=稲垣純也)

 全社員が共有する価値観や行動様式を掲げる会社は、珍しくありませんし、当社のバリューが斬新とも思っていません。他社と大きな違いがあるとすれば、バリューの実践を徹底し、決して“有名無実な標語”にしていない点ではないでしょうか。バリューを3つに絞った理由も、社員の皆にスッと覚えてもらうためですから。

 社員に「バリュー実践」を意識づける土台作りとして、ミーティングや「Slack」(ビジネスチャット)で、「それはもっとGo Boldに考えた方がいいのでは?」などと、意識的にバリューを使うようにしています。「Go Bold」とプリントしたTシャツ(注:1ページ目の写真で着用)やシールなどのグッズを作って社員に配ったり、会議室に「Bold」などと名前をつけたりして、「見える化」しています。皆がバリューを自然と口にするよう、とにかくしつこく刷り込んでいるわけです(笑)。