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「うちは芸人さんにちょっと近いんですよ」

“当たり”を見定めるうえでのコツはありますか? ほぼ日では上手にキャッチしている印象がありますが。

 うちは芸人さんにちょっと近いんですよ。「喜ばれているかな」「飽きてないかな」「寂しそうにしていないかな」と、芸人さんが客席を見るような気持ちでしょうか。

 そのためには、ベースとなる「感じる」部分が錆びないことが大切です。次に「思う・考える」。それで「何をするか」だと。「感じる」が消耗すると、考えることだけしかしなくなって、それこそ前提などにとらわれてしまい、「誰も要らないよ、そんなの」といった、とんちんかんな商品やサービスを提供しかねない。

 「今、そんなことをしている場合じゃないんだよ」という考えはマイナスに働くと思っていて、古典でもアートでも映画でも何でもいいから、「感じる」時間を持つことも大切ではないでしょうか。

「感じる」部分を鈍化させないためには、何を心がければいいのでしょう。

 ほぼ日では「ほぼ日の学校」というシェイクスピアや歌舞伎、万葉集といった古典を学ぶコンテンツを提供しています。僕が学び始めて思ったのは、偉人の哲学といった知が身につくと、生き方を考えるための武器になり、同時に他者への想像力を深めると思うんですよね。AIやIoTといったテクノロジーの話ばかりに視線を向けがちな今だからこそ、そうした人間の礎となる部分の大切さを忘れてはいけないと思う。時代がどう変わろうが、「人間って本来はこうだろう」みたいな。

糸井さんと「ほぼ日」の足跡