LGBT施策は「働き方問題」への処方箋

日本社会特有の同調圧力が、長時間労働やパワハラの問題を助長してきたとも言われています。LGBT施策は、様々な働き方の問題解消にもつながりそうです。

:そう思います。以前、(当時、日産自動車CEOだった)カルロス・ゴーンさんとお話しした時に印象的だったのが、彼が日産の問題を解決するために「Put problems on the table」と言い続けたというエピソード。つまり、「引き出しの中に隠している問題を全部出しなさい」と。

「問題を見て見ぬふりをする」というのは、日本企業の典型的な行動パターン。でもそれでは一向に問題は解決しないので、まず皆で問題を共有しましょうと。すると、解決のための知恵が集まってくる。

:特にLGBTの場合は「見えづらい違い」であることも特徴なんです。性別や人種、身体障害の有無などは、パッと見ですぐに伝わるので、差別に対する意識もしやすい。LGBTや発達障害のような「見えづらい違い」に気づいて配慮するという行動は、ダイバーシティーの中でもよりレベルの高い取り組みになると思います。

増原裕子(ますはら・ひろこ)さん
LGBTコンサルタント/トロワ・クルール代表。慶應義塾大学文学部卒業、慶應義塾大学大学院修士課程。パリ第3大学留学後、ジュネーブ公館、会計事務所、IT会社勤務を経て起業。ダイバーシティー経営におけるLGBT施策推進支援を手がける。

「見えづらい違い」も含めて多様性を認め合える社会には、どんな価値創造が期待できますか。

:「Wisdom of Clouds」「集合の知恵」がどんどん生まれていくでしょう。多様な背景や視点があると、将来の変化に対する耐性が強化されると言われています。NASAのシミュレーターでスペースシャトルを飛ばした際、男性だけのチーム、女性だけのチーム、男女混合チームの中で最も成功率が高かったのは男女混合チームだったそうです。同じ属性で同じ思考に偏る人を集めると、危機の対処法も偏る。多様性はリスクマネジメントにもつながるのです。