【新卒社長のリアル】

「撤退基準」と「失敗ストック」で リスクを背負った勝負ができる

「新卒社長」として入社3年目に、子会社のCA Young Labの社長に就任。
社長の立場から見えてきたものとは?


須田瞬海(すだ・しゅんかい)さん
CA Young Lab社長

1990年生まれ。立教大学卒業。2014年新卒。内定者時代にサイバーエージェントへ早期入社し、アメスタの子会社立ち上げに参画。Ameba事業本部広告部門などを経て、15年にマネジャーに。16年CA Young Lab社長に就任。(写真:北山宏一)

 エクセルも触れたことがない状態で入社し、1年目は全く結果が出せませんでした。でも、マネジャーにスピード昇進した当時の上司に負けたくなくて、「マネジャーになりたい」と周りに公言していたんです。すると「こういう人材が若くして昇進してるよ」と社内の先輩方にフィードバックを頂く機会をたくさんもらいました。おかげで、2年目でマネジャーになることができた。

 「CA36」という次世代リーダー育成プログラムの2期生に選ばれ、社長の藤田や役員から出される事業課題に向き合うプログラムを1年間受けました。課題は難解で、「もし役員が全員死んで、自分が社長になったらどうするか」「AbemaTVを1000万回ダウンロードさせる方法」など。年間8回ほどのプレゼンや、研修後の食事会を通じ経営陣との距離も縮まり、経営視点を養いました。

 僕が「新卒社長」に抜擢されたきっかけは、新規事業などを議論する合宿「あした会議」への参加です。若年層向けの新たな広告事業の必要性を提案したところ、事業化へのGOサインが出た。

 社長に就任し、会社を設立するまでの準備期間、経理や法務などのバックオフィス業務については本社のサポートがあるため、驚くほどスムーズに進みました。でもそれ以外は大変。資本金集めのため、社内の投資委員会に向けた事業計画書を初期メンバーの2人でゼロから作りました。「あした会議」では課題や初期メンバーを提案しただけで、詳細な事業計画や戦略は決めていなかったのです。

 テレビなどの既存の媒体離れが著しい若年層に対し、拡散力のあるユーチューバーなどを活用したデジタル広告に関する事業計画や、売り上げ目標を盛り込みました。

先が見えない問題を判断

 就任して約2年。組織や戦略作り、採用人事など多くの決断をしてきて、自分自身、非常に成長につながっていると実感します。

 サイバーエージェントの制度には事業の撤退基準が定められていますが、僕は3つのフェーズに分けて考えています。まず、最初の半年までに売り上げを立てる方法を見つけないと黄色信号が点滅し、1年半で黒字化に転換しなければテコ入れの必要がある。これらの2つの山を越えて、今は売り上げを前年の3~5倍にするという3つ目の山に向かっています。倒産リスクを背負うほどの大きな勝負が必要な段階に入ったと捉え、場合によってはメンバーの反対を押し切ってでも大きな決断をしなくてはならないかもしれない。その時に大事なのは、筋の通った一貫した考えであるように思います。

 先が見えない難しい課題に対して決断していくのが、社長の仕事です。決断する際に大事なのは「直感」だと思っていて、それを磨くためにも、普段から社内外問わず先輩たちが残していった失敗パターンを集めて頭に入れています。

 これまでの人生で一番やりがいを感じている半面、正直、今が一番つらい(笑)。プレッシャーで夜眠れないということはないですが、朝起きると憂鬱な日も多いです。でも藤田も『憂鬱でなければ、仕事じゃない』という本を出しているので、「そうだよね」と納得しながら社長をやっています。(談)

(写真:北山宏一)

 

*本記事は、「日経ビジネス アソシエ」2018年8月号掲載の記事を一部改編したものです

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