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撤退基準とセカンドチャンス

 法務や経理、広報といったバックオフィスは本社がサポートするため、事業化が決まれば新会社の設立はスピーディーだ。本社の役員が1人取締役に入るほか、周りの先輩に相談しやすい社風があり、歴代の「新卒社長」の失敗談も豊富なため、新卒社長が経営判断していくための環境が整っている。

 とはいえ、自身の給与額から予算策定、採用といったすべてを最終決断するのは新卒社長。「成功は自信になり、失敗は学びを生む。社長という責任や重圧を背負って『決断経験』を重ねることが、圧倒的な成長につながります」(上村さん)。

 その決断の評価基準となるのが、「スタートアップJJJ」制度だ。原則設立2年以内で収益化していない事業を対象に、想定される時価総額別に事業をランク分けし、「6半期連続で一番下のランクから上がれないと撤退する」などの「事業撤退ルール」を明確にしている。将来性や採算性がない中で赤字を膨らませない目的もある。

 また月1回、子会社社長たちが本社の役員に施策のプレゼンや事業進捗を確認する会議は、軌道修正をするチェック機能を果たす。

 創業5年で撤退する事業は約50%程度。だが、同社は「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを」という方針を掲げ、事業から撤退した新卒社長には懲罰人事ではなく、違う部門で再挑戦できる場を与えている。

 「リスクを取って挑む社員や、次に生かせる失敗経験を評価する風土があり、セカンドチャンスを得た新卒社長は社内の多くの部署から引く手あまたです。また、セカンドチャンスを与えるというセーフティーネットがあることで、社員も失敗を恐れずにチャンレンジできます」(上村さん)。