今年6月に晴れて上場したメルカリ。就任2年目となる社長兼COOの小泉文明さんは、メルカリ入社前は大和証券SMBC(現・大和証券)でIPO(新規株式公開)を担当し、その後、ミクシィで執行役員CFO(最高財務責任者)を務めるなどキャリアを着実に築いてきた。ただ、新卒1年目で死を意識するほどの大失敗を経験したという。

(まとめ:呉 承鎬)

小泉 文明(こいずみ・ふみあき)氏
メルカリ社長兼COO。早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)でミクシィやディー・エヌ・エーといったIT企業のIPO(新規株式公開)を担当。2007年にミクシィに転職し、執行役員CFOとしてコーポレート部門を統轄する。12年に退任後、スタートアップ支援を経て、13年12月メルカリに入社。14年3月取締役就任。17年4月、創業者の山田進太郎さんから引き継いで現職に就く。(写真:稲垣純也)

「死のう、道路に飛び込んで」

 私が発作的にそう思ったのは、社会人1年目の冬でした。原因は、未熟な自分が仕事でやらかしてしまった大きな失敗。この時ほどつらい経験は、現在に至るまでありません。

 当時の大和証券SMBC、ミクシィ、現在のメルカリ。どの職場やポジションでも私が大事にしてきた働き方は、この原体験に強く影響を受けています。

 おかげさまで、当社は先月、東京証券取引所マザーズに上場しました。そして今月、フリマアプリ「メルカリ」は開始5周年を迎え、仕事にますます前のめりになる毎日です(笑)。節目が続くこのあたりで、自分のこれまでのビジネス人生で一番強烈だった“あの日の出来事”をお話ししましょう。

 新卒で入った大和証券SMBCで、ある企業の子会社のIPO(新規株式公開)を担当することになったのですが、上司が風邪をこじらせて1カ月ばかり入院してしまった。それまではずっと上司の下で仕事を進めていたから、当然、自分1人で引き受けられる力量はまだありません。しかし、そんな弱音を吐いても仕方ない。「1人でやるしかない状況」になった現実は変えられないのですから。