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 経営が軌道に乗るまでには、失敗もありました。指導に特化すると決めたにもかかわらず、つい自分からあれこれ引き受けてしまって連日帰宅が深夜になったことも。「そういうやり方だと、顧客満足度は上がっても、多くの企業の仕事が受けられない」と夫にも注意され、以後気をつけるようになりました。

 現在、社員数は6人で、20~30代が中心。もともと私は、人に仕事を任せられない性格だったのですが、若い社員に頼んだ方が素晴らしい仕上がりになることが多いと気づいてからは、積極的に任せるようになりました。最近の若手は本当に優秀で、やってほしいことを明確に示せば、非常に効率的に仕上げてくれます。おかげで私はクライアント各社を回って時間をかけてコミュニケーションを取り、各企業の要望や課題を共有するといった本質的な仕事に時間を割くことができる。夫婦2人だけで頑張っていた頃より会社の業績は大幅に上がりました。

 「夫婦で一緒に会社を経営してよくケンカになりませんね」と言われることがありますが、夫と私は2人で1人の社長という認識で、互いに自分にない部分をリスペクトし合っています。夫は事業の仕組み作りや数字の管理が得意。私は人前に出て話したり、教えたりするのが得意。それぞれの得意分野に注力し、不得意分野は相手に任せる体制にしているのが、うまくやれている理由かもしれません。

服は多少シワシワでもいい

 今、2人の娘は中学2年生と小学3年生。家族の時間を確保するため、毎日、夫婦どちらかが18時くらいに帰宅して夕食を作り、もう一人も遅くとも20時までには帰宅して、夕食を全員で食べるようにしています。こんなふうに時間の融通を利かせられるのも夫婦起業のメリットだと感じています。

 ただし、以前は子供の前でも延々と仕事の話をしてしまい、当時小学生だった上の娘から「仕事の話は外でしてきて」という手紙をもらったことがあります。以来、仕事の話は子供が寝静まった後か、朝起きてくる前だけにするようになりました。今も当時の手紙を壁に張り、自らを戒めています。