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入っていたら、やめていた

98年のフランスワールドカップで歴史的な日本人初ゴールを決められましたが、サッカー人生の中で最も印象深いゴールは?

 その決めたゴールではなく、同じワールドカップのクロアチア戦でキーパーにセーブされたシュートですね。今年の正月も、当時の動画を見ながら「どうすればゴールできたか」と同級生に解説したぐらい、心に強く残っています。

 あれは、完璧なコントロールによる会心のシュートだったんです。でも止められた。ゴールキーパーの動きをもっと予測していたら違うシュートが打てたのではないか、それを可能にする技術が当時の自分にあったのかなど、今でもいろいろ考えます。

 結局、完璧なシュートをしたつもりだったけど、もっともっと強く打っていれば、キーパーの手をはじいてゴールに転がっていったんじゃないかという結論に至ったんですけどね、正月は。

引きずるほど悔しい?

 そうとも言えますね。あのゴールを決めていたら、今サッカーをやっていないと思います。それぐらい申し分ないシュートだったから、あれが生涯一のゴールだと言えると思うんですよ、自分の中では。でもゴールにはならなかった。だから、生涯一のゴールをまだ追い求めている自分もいる。試合にも出ていないのに、ゴールもないだろうという話ですけど(笑)。

 ワールドカップでの初得点は記念すべきプレーだけど、今思えば、最高のプレーでも何でもないですよ。あの時、パスされたボールを、頭、胸、脚のどこに当てて押し込もうかと迷い、葛藤しながら打ったシュートだったし、喜びに浸るような会心のゴールではなかったんです。

50代での成長とは?

生涯一のゴールを求めて、現役を続けている?

 手遅れなんですけどね(笑)。それを分かっていながら、「(生涯一のゴールが)まだあるんじゃないか」「もうないよ」と言う2人の自分がいます。それはゴールだけの話ではなく、自分はもっとできるんじゃないか、まだ成長できるんじゃないかという可能性の話でもあるんです。

 トレーナーから「ここを鍛えればこういう動きができる」と教えてもらうと、まだプレーできると思えてトレーニングします。それをグラウンドで生かそうとするけど、なかなかうまくいかない。今はその繰り返しです。

 あきらめが悪いと思う人もいるでしょう。かっこ悪いと言う人もいるかもしれません。でも今はできないことをどうやったらできるかと考え、少しでも自分の思うようなプレーをできるかを求めています。