そんなプレースタイルがゆえに、20代後半からケガばかりしているわけですが、ヘディングの際に眼窩底骨折しようが、ケガすることを怖がってはいられませんでした。それが僕にとっての当たり前。当たり前だからこそためらわず、考える前に、敵が振り上げた脚の前に頭を差し出すんです。
現実は、全試合、すべての時間においてがむしゃらに突っ込むことは体力的に無理です。だったらパスの流れを読み、走るコースやスピードの強弱を考えたり、コンビを組むフォワードの方がゴールする可能性が高ければ、さらにそれを高める役割に徹したりする。
どんな意図でどう動くか、四六時中、そんなことばかり考えていました。思い通りに動けないことばかりでしたけどね。
怒り続けるにはエネルギーが必要
中山さんは、強烈な負けず嫌いですよね。
そうでしょうね。でも、ジュビロ磐田時代に、数カ月指導を受けたルイス・フェリペ・スコラーリ監督も、強烈な負けず嫌いでした。何が何でも相手ボールを止めて失点を防ぐというプレーを見せないと、「勝ちたくないのか!」「勝つために何をしなければいけないのかもっと考えろ!」と、常に叱咤していた姿が、今でも目に焼きついています。
ドゥンガ選手もそう。彼は怖かったですよ。試合中も、味方の良くないプレーに対して怒鳴り続けていた。そんな彼に苦手意識を持ち、よく思わなかった選手もいたと思います。でも彼は、そんなことお構いなしに言い続けていた。
周りから自分がどう思われようと構わなかったのでしょうか?
ドゥンガ選手は、「別にチームメートから嫌われてもいい、チームが勝つためなら言い続けるよ」と話していました。自身もプレーしながら怒鳴り続けるのは、相当なエネルギーを使いますから、それをやり続けた彼は、本当にすごい選手ですよ。
観客の前で怒鳴られた選手は恥をかきますから、ドゥンガ選手は相手に気づかせ、強い意識を持たせることも考えて、あえて試合後ではなく、その場で怒鳴っていたようにも見えましたけどね。
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