「当社(サイバーエージェント)で聞き上手なのは副社長の日高裕介です。みんな悩みがあると私ではなく、日高のところに相談しに行く。そして、『ありがたやー、ありがたやー』といった感じで、すっきりした顔で帰ってくる(笑)」。
こう語るのは、サイバーエージェント社長の藤田晋さん。藤田さんによると、日高さんのような「相談しやすい人」は、仕事の悩みを抱えた人の“心のオアシス”になるため、会社にとって必須の存在だと言う。
聞き上手と評判の日高さん本人に、「部下の悩み」を聞く時に注意すべきことを聞いた。
(聞き手:上岡 隆、写真:室川イサオ、菊池くらげ)

「教えたがり」ではない むしろ「引き気味」
社長の藤田さんは、日高さんのことを聞き上手で「相談しやすい人」と言っていますが、ご自身ではどうお考えですか?
自分が「聞き上手」ということは意識したことがありませんでした。ものすごくたくさんの相談を受けている実感もありません。でも、改めて言われると「相談しやすいのかも」とは思います。

日高 裕介(ひだか・ゆうすけ)氏
1974年生まれ。97年に慶應義塾大学卒業後、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)入社。翌98年、前職で同期だった藤田晋さんとサイバーエージェントを設立。2010年から現職。12社に及ぶゲーム事業部門のトップを務める。著書に『組織の毒薬 サイバーエージェント副社長の社員にあてたコラム』(幻冬舎)がある。
それはなぜですか?
僕は「何でも解決してやるぞ! 悩みがあったらいつでも来い」といったようなパワフルなマネジメントをするリーダーではありません。「教えたがり」でもなく、どちからといえば「引き気味」に相手と接します。相談を受けても、はっきりと意見は言いますが、考えを押しつけることはしません。
理詰めで正論を言うタイプでもないので、相談しやすいのかなと。相談した上司から正論をガーッっと言われたら、「それは正しいし、そうなんだけど…」と素直に聞き入れられなくなりますよね。高いテンションで「どうした! 何があった?」と話を聞く“熱血上司”も同じで、ちょっと相談しにくい。その点、僕は基本的に相手の相談を「あーそうなんだ」とあまり大ごとに捉えないで、軽い感じで聞きます。普段と変わらない態度が話しやすいのかもしれません。
Powered by リゾーム?