聞かないと、逃す“獲物”は大きい

「結果を出せば、人の話を聞く必要はない」。そう自信を持っていた時代のご自身にアドバイスするとしたら?

 「『テレビ番組はつまらなくなった』と言われて久しいけれど、少しでもいいものを作りたいなら、一緒に働く人の知識や情熱は絶対に必要。ましてや現代社会はこんなに複雑化している。1人の力で仕事を成し遂げるのはほぼ無理。その文脈でも『人の話を聞く』ことは重要だぞ」ですかね。

 これは、どんな業界にも通じる話でしょう。自分の“器”をいったん空っぽにして、相手を入れてみてください。「そう思う理由を教えて」と聞いた瞬間に、仕事はもっと楽しくなる。「私はこう思う」「私の言う通りにやってほしい」という一方通行のやり取りでは、その楽しさは経験できません。

「聞く力がスゴい」芸能人は? お笑い界のレジェンド、志村けんさんです

あえて1人に絞ると、2014年から不定期放送している「となりのシムラ」でご一緒している志村けんさんですね。意見を挟まずに、私の説明を最後まで聞いてくださる。志村さんが口を開くのは最後で、提案した理由や狙いを、真摯かつ貪欲に質問されるんです。最終的に、「でも、これは面白くないかな」と言われる時もあ りますが(笑)。大ベテランの志村さんがそんな姿勢なのに、どうして私が、いわんや私より経験の浅いディレクターが、「僕は僕のやり方でやりますから」と言えるのか。後輩がそんな言葉を口にしたら、鬼のような説教をしてやります。


聞く時に意識していることは? 軽視しがちですが、笑顔です

相手がしかめっ面でもこちらが笑えば、表には出さなくても、心の中の感情がポジティブな動きを示すはず。だからいつも笑顔でいるようにしているし、相手の話にちょっとでも面白い部分があったら、「面白い」と思ったことを笑顔で表すように心がけています。特に、難しい内容について話し合っている時は、相手も自分も全身が力みがち。相手が面白いことを話しても、反応しきれない懸念があります。そういう時ほど、「笑え、肩の力を抜け」と自分に言い聞かせています。


*本記事は、「日経ビジネス アソシエ」2018年6月号掲載の記事を一部改編したものです

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