信販会社のコールセンターでキャッシングの支払い滞納顧客に対する督促業務を担っていた榎本まみさんは、“逆ギレ”する客の怒りを鎮め、返済を促すプロ。新人の頃は何気ない応対が客の怒りを増幅させる失敗を繰り返していたが、自分の「聞き方」に大きくメスを入れることで、年間2000億円もの回収に成功するようになった。2つのステップからなる榎本さん流の「聞き方」とは?

 信販会社のコールセンターでキャッシングの督促業務を担っていた榎本まみさんは、“逆ギレ”する客の怒りを鎮め、返済を促すプロだ。だが、もともと内気で話し下手。新人の頃は、何気ない応対が客の怒りを増幅させたという。

 客から怒号を浴びる日々が続き、「このままでは自分が病んでしまう」と危機感を覚えた榎本さんは、それまで通り一遍だった「聞き方」を、相手を“誘導”するための手段として捉え直すことに。その結果、回収できる確率が大幅に上がり、年間2000億円もの回収に成功するようになった。

榎本まみ(えのもと・まみ)さん
新卒で信販会社に入社し、支払い延滞顧客の督促を行う部署に配属。気弱な性格でも、多重債務者や支払い困難な顧客に言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発。300人のオペレーターに指示し、年間2000億円の回収に成功した。現在は某金融機関のコールセンターで働く。著書に『督促OLコールセンターお仕事ガイド』(リックテレコム)など。(イラスト:榎本まみ)

 榎本さんが、逆ギレする人を“動かす”ために意識しているのは、「聞き方の工夫で怒りを鎮める」→「効果的な質問で相手を動かす」という2つのステップだ。

 「怒りを鎮める」ポイントは大きく5つ(次ページの囲み参照)。1つ目は「相づちのバリエーションで、聞く姿勢と共感をアピールすること」だ。

 「はい」「すみません」をおざなりに繰り返すだけでは、相手をイラつかせ、さらに怒りを増幅させかねない。「確かにその通りです」「お気持ち分かります」などと相づちのフレーズを複数用意し、共感しながら聞けば、相手が「親身に話を聞いてくれている」と感じ、警戒心が薄れる場合が多いという。