82歳でゲームアプリを開発し、「世界最高齢の女性開発者」として世界中から注目を集めている若宮正子さん。パソコンを始めたのは60代に入ってから。プログラミングも興味の赴くままに、一から独学したという。そんな好奇心とバイタリティーあふれる人生の大先輩に、40代に心がけるべきことを聞いた。
(聞き手:藤原達矢)

1935年生まれ、82歳。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)を定年まで勤め上げ、3年間の関連会社勤務を経て退職。リタイア生活に入るのを機にパソコンを独学で習得。自宅でシニア向けパソコンサロンも主宰。2017年にiOS向けひな人形位置当てゲームのアプリ「hinadan」を開発。同年6月には、米アップルが開催する世界開発者会議「WWDC 2017」に世界最高齢の女性開発者として特別招待され、一躍注目を集める。『60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。』(新潮社)など著書多数。(写真:鈴木愛子)
誰も作らないなら私が作るしかない
82歳でゲームアプリを開発されたと話題になりました。どんな経緯だったのでしょうか。
若宮正子氏(以下、若宮):シニアが楽しめるアプリを作ろうと思ったのは2016年秋頃。私はかねてから「シニアこそスマートフォンを使うべき」と思っているのですが、皆さん、「スマホはとっつきにくい」と言います。そこで、若い開発者の方にシニアでも楽しめるスマホアプリを作れないか相談してみたところ、「シニアが楽しめるものが何なのかが分からない」という返事。「それなら、シニアである私が作るしかない」と思ったのがきっかけです。

作りたいゲームのイメージは鮮明だったので、それを形にするだけの必要最低限のプログラミング知識を習得しました。基礎を一通り押さえたわけではありませんが、無事「hinadan」の完成にこぎ着けることができました。
現在までに世界中で8万人以上の方からダウンロードされています。英語版や韓国語版、中国語版もリリース。昨年6月には、米アップルが主催する世界開発者会議にも世界最高齢の女性開発者として招待していただき、今年2月には国連にも招かれ、英語でスピーチする機会をいただきました。
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