「感情的なしこり」を残さないための3つのクッション
こんな事態を避けるには、適切な“緩衝材”を用意することだ。簡単な方法を3つ紹介しよう。
第1は、「根回し」だ。会議の参加者に、あらかじめ「こういう議題を出します」と伝え、賛同を得ておく。一見すると裏工作のようでイメージは悪いが、当日にいきなり提出して、「こんな話は聞いていない」とヘソを曲げられるよりはいい。気分を害してしまうと、議題の中身とは関係なく反対される恐れがある。
また他の参加者にとっても、質問事項を挙げたり、対案を考えたりする時間を確保できるメリットがある。それを当日までにフィードバックしてもらえれば、合意点と論点はより明確になる。その時点で、「自分の主張を通したい」という対決姿勢より、「一緒に最終合意を目指そう」という共闘意識が勝るはずだ。
ホワイトボードを使ってガチンコ勝負を避ける
第2は、「ホワイトボードの活用」だ。今や会議室にホワイトボードは必需品だろう。それは議論の整理に役立つだけではない。全員の視点をそこに集めることで、人間関係のしがらみや力関係とは一線を画すことができる。
例えばある会議で、部長と課長と新人がそれぞれ案を出したとしよう。礼節を重んじる参加者としては、当人に向かって「部長案より課長案の方がいい」とか、「新人案が一番面白い」とは言いにくいはずだ。
あるいは部長と課長が犬猿の仲だった場合、お互いの案をつぶそうとディベートが始まってしまう恐れもある。
しかし、これを「A案」「B案」「C案」として要約をホワイトボードに記せば、それぞれの案は人格と切り離される。当人に向かって直接意見する形にならないため、忖度や対決の図式は緩和されるわけだ。議論はしやすくなるだろう。

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