間違ってもオバマ前大統領の名前は出してはいけない

 具体的には、以下の3つのステップが考えられる。

 第1は「とにかく褒める」ことだ。トランプ大統領のようなタイプは、褒められることを好む。ただし褒められ慣れてもいるので、形式的な追従では満足しない。褒める側も、歯の浮くような美辞麗句を並べることには抵抗がある。

 そこでオススメなのが、相手が尊敬または目標としている人物の話題を提供することだ。トランプ大統領を例に取れば、レーガン元大統領がそれに当たる。「あの時、彼のあの決断が国を救いましたね」などと持ち上げれば、「そうだろう?」と盛り上がりやすい。レーガン氏を褒めれば褒めるほど「自分が褒められている」と脳内変換するポジティブ回路が、“トランプ大統領タイプ”にはある。

 もちろん、事前のリサーチは不可欠だ。間違ってもオバマ前大統領やヒラリー・クリントン氏の名前を出してはいけない。表面的な思想信条は似通っていても、実は感情的・生理的に受け付けなかったりすることもある。歴史上の偉人や、スポーツや芸術など、全く畑の違う分野のトップランナーを挙げるのが無難だ。

見習うべきは豊臣秀吉

 第2のステップは、「ビジョンを共有する」ことだ。一見すると「イエスマン」になることだが、それだけでダメ。トランプ大統領タイプは、しばしば周囲に無理難題を押しつけてくることがある。それを真に受けていては身が持たない。ポイントは、その本質を見極め、手段については自分なりのアレンジを加えることだ。

 トランプ大統領の場合なら、とにかく「雇用創出」が国民との大きな約束だ。そのため民間企業の経営にまで直接注文をつけたりしているが、要は何らかの形で雇用創出に貢献さえすれば文句は言わないはずだ。言葉尻の強さに過敏に反応することはない。

 この点で天才的なのが、織田信長の配下だった頃の豊臣秀吉だ。信長は、まさにトランプ大統領と同じタイプだろう。「天下布武」というビジョンの下、部下にも他国にも無理を強いた。それに対して秀吉は、がむしゃらに突撃するのではなく、敵将の籠絡や兵糧攻め、水攻めといった具体的なアイデアを繰り出して応じている。もはや信長にとって秀吉は、部下というよりビジョンの実現に欠かせない”懐刀”のような存在だったのではないだろうか。

織田信長の配下だった頃の豊臣秀吉は、信長の「無理難題」の本質を見極め、手段については自分なりのアレンジを加えるという点において天才的だった。