“オンリー・ユー”演出が効く

 第2は、「時間がない」という切迫感と、「あなたしかいない」という専門性に訴えること。特に忙しい人に依頼する場合、これらの要素が欠けていると、断られる理由になりやすい。

 言うまでもなく、期限の提示は依頼の第一関門だ。気を使いすぎて「いつでもいい」などと言えば、永遠に後回しにされるだけ。「どうしてもこの日までに完成させたい」と明らかにして打診することで、相手も検討しやすくなる。時間的に不可能なら、「ではまた次の機会に」とすっきりあきらめもつくだろう。

 それに切迫感をアピールすることで、相手によっては「そんなに困っているなら、何とか力になってあげよう」と、“仏心”を起こしてくれる可能性もある。日々の仕事が案外こういう「情」で成り立っていることは、誰もが体感しているはずだ。

 同時に、「なぜあなたにお願いしたいのか」を説明することも不可欠。高い技術や知識をお借りしたいとか、実績や評判から判断したとか、「その人ならでは」を強調するのが礼儀だ。多少の誇張やお世辞を盛り込んだとしても、バチは当たらないだろう。こういう“オンリー・ユー”な演出が、相手をその気にさせるのだ。

「ちょっとでも」は相手の負担を軽減する言葉

 そして第3は、「返事をイエスかノーかで迫らない」ということだ。たとえ10の仕事を受けてもらうことは難しくても、3や4なら可能かもしれない。その”落としどころ”を探るのが、むしろ依頼の本丸だ。コミュニケーション能力の真価が問われる場面とも言えるだろう。

 こういう時、単純ながら役立つキーワードが2つある。「ちょっとでも」と「どちらかと言えば」だ。いずれも相手の警戒心や負担を軽減する言葉で、まず「ちょっとでもお願いできませんか」などと尋ねれば、相手も「ちょっとぐらいなら手伝おう」という気になるかもしれない。もちろん執拗に迫るのは厳禁。「ちょっとでも無理」と言われれば、即座に引き下がるしかない。

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