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他人の質問内容を5段階で評価する

 以上を基礎として、実践編に移ろう。質問力を高める方法は、大きく3つある。

 1つ目は、「他者の質問をチェックする」ことだ。会議でもいいし、テレビの対談番組でもいい。そこで繰り出される質問をピックアップして、自分なりに「A~D」のランクをつけてみよう。「具体的」「本質的」であることを前提として、さらに場を盛り上げるような質問なら、評価は高くなる。こうして“選球眼”を養えば、自分の質問の精度も高められるはずだ。

 2つ目は、「事前の情報収集」だ。頭の中だけでいくら考えても、底の浅い質問しかできない。私もよく「取材」の形で質問を受けるが、勉強不足、情報不足の記者は少なくない。どんなテーマであれ、基礎的な知識すらなければ、私はその説明から始めねばならなくなる。その状況で、いい質問などできるはずがない。

 今やネットを検索すれば、どんな情報でも瞬時に手に入る時代だ。もう少し知りたいと思えば、新聞や雑誌の記事を購入してもいいし、書店で関連書籍を探してもいい。いい質問をするため、つまりはコミュニケーションを深めるためと思えば、当然のステップだ。そのひと手間を惜しむようなら、いつまでも「残念なヤツ」から卒業できない。

「そもそも論」は万能フレーズ

 そして3つ目は、いささか姑息ながら、「具体的」「本質的」というキーワードを、そのまま質問に使うことだ。例えば抽象的な回答しかしない相手に対しては、「もう少し具体的に言うと?」とダイレクトに尋ねればいい。相手がうまく答えられないなら、そもそもその議論には意味がなかったということだ。

 あるいは議論が錯綜してきたら、「本質は何でしょう?」と、「そもそも論」を問いかけてみればいい。会議の場を“交通整理する”役割を担える。いずれも、ほぼ万能で使えるフレーズだ。

 ただし、既に「具体的」かつ「本質的」な議論が進行している時にこの質問をすると、たちまち「残念な人」「場の空気が読めない人」に転落するので、ご注意を。

質問力を高めるための3つのポイント
  • 1. 質問の内容を「座標軸」でチェックする

    「いい質問」の条件は、「具体的」かつ「本質的」であること。質問する前に、この2点をクリアしているかどうかをチェックしよう。他人の質問内容を聞いて、自分の中で評価する癖をつけることで、質問の精度を上げられる。

  • 2. 情報収集は不可欠

    基礎知識や常識的な内容を質問してはいけない。調べられるものは自分で調べ、相手のアイデアや意見の部分にのみ、質問を集中させること。新たな情報を提供し、それについてコメントを求めるのも常套手段。

  • 3.「具体的」「本質的」な言葉に頼る

    議論が錯綜してきたら、「具体的に言うと?」「本質的にはどういうこと?」と尋ねれば、たいてい本質的な回答に戻る。ただし新たな議論を呼ぶ効果はないので、軌道修正用の質問と考えよう。