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クビになる年齢を教えてくれる「定年退職」

 「80歳まで現役」という考えにシフトできれば、定年退職以外の選択肢が広がります。例えば40歳のビジネスパーソンなら「3年後に辞めて起業する」「副業をいくつか試してみる」といった未来が開かれるわけです。考えてみれば、終身雇用における定年退職は、「超長期雇用下での“強制解雇”制度」。会社が生涯の面倒を見てくれるわけではない。ならば、対策は早く立てるに越したことはありません。

 こうした話をすると、「私はどうすればいいですか」と聞かれるのですが、一人ひとり置かれた状況や価値観が違っているから、誰にでも当てはまる万能のアドバイスはありません。酷な言い方かもしれませんが、それぞれが自分で見つけるしかないのです。

 ただ、長く働くためには心と体の健康寿命を伸ばすことが大前提です。うつ病は日本の「風土病」とも言われていますが、その原因は人間関係によることが多い。買い物や食べ物、着る物など何でも自由に選べる現代社会において、人間関係だけは選ぶことが難しい。会社の嫌な上司は典型でしょう。これは米国も同じで、組織に属さず、人間関係を選択できるフリーエージェント化が急速に進んでいます。「好きな人とだけつき合う」贅沢はできなくても、「嫌いな人とは無理につき合う必要はない」というスタンスでいられれば、人生の幸福度は大きく上がります。

 今後はますます専門的な知識に高い価値が認められ、知識社会化が進む。だからニッチな領域で構わないので、自分の好きなこと、得意なことにフォーカスして専門性を磨くことが重要です。生涯現役社会では、「仕事は苦役」のマインドではやっていけません。好きなことならばどれだけ頑張っても苦にならないし、人的資本のすべてを投資できる。ただし、一つの会社の中でしか評価されない知識やスキルの習得はムダ。「今の会社を離れても価値を持つ専門性」の習得が重要です。