社長になっても“超絶コミット”

肩書を「絶対」とする上下関係や座席配置をよしとしない小泉さんは、現場で働く一般社員のメンバーと肩を並べて仕事。はたから見ると、社長の席にはとうてい見えない。「フラットな組織運営を心がけ、気軽にコミュニケーションを取れるようにしています」
肩書を「絶対」とする上下関係や座席配置をよしとしない小泉さんは、現場で働く一般社員のメンバーと肩を並べて仕事。はたから見ると、社長の席にはとうてい見えない。「フラットな組織運営を心がけ、気軽にコミュニケーションを取れるようにしています」

 私も「社長」という肩書ありきでの仕事はしません。責任やリスクを取れる範囲は広がりますが、意思決定では事業メンバーと同じく、当事者意識を持って判断するようにしています。「社長だから」と、状況を詳細に把握する努力を放棄することは許されない。

 もちろん経営者目線でも、今の事業に関わった瞬間からずっと、創業社長の山田(進太郎氏)と同じくらい考え尽くしながら、“超絶コミット”してきました。自分でそう自負しているくらい、当事者意識を持っています。「“社長になったから”責任が重くなった」といった感覚は皆無です。

 ちなみに私の社長就任は、「グローバルなプラットフォームを作る」というミッションを踏まえながら山田やほかの経営陣とやり取りする中で、「じゃあ、日本は僕が見ますね」と自然な流れで決まりました。一連の経緯はすんなりとしたもので、社員も「社長に電撃就任した!」と受け止めなかったはず。2代目社長だからといって、「先代との違いを出したい」とは思いませんね。そもそも山田とはタイプが全く違う(笑)。違いは自然と出てくるでしょう。

完璧主義の落とし穴

 「仕事を完璧にこなしたい」と考える人は多く、サービスやプロダクトを満点の状態に仕上げてからリリースしようとしがちです。こうした完璧主義は一見、責任感の表れに思えますが、細かいところまで万全に仕上げるやり方は何かあった時に変えることを躊躇しやすいし、絶えず変化するビジネスでは「100点満点」という発想は存在しないはずです。

 ビジネスで生き残れる条件は、「いつも可変であること」だと思っています。常に最適に変化できる態勢の方が、結果的にゴールに早く近づけます。2017年12月に実施した「メルカリの仕様変更」も、その1つです。ここ最近、サービス規約に反するトラブルが生じている状況を踏まえて、メルカリの武器だった「利用の手軽さ」を多少損なってでも、「個人情報登録の義務化」や「売上金の銀行口座への振込期限短縮」に踏み切りました。すべての根底に「お客様が安心・安全に使える」という責任があると考えています。

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