「理解不能」だから愛される

 日清のマーケティングを見れば、逆にどのようなマーケティングが若者から嫌われるのかが透けてくる。

 まず、説教臭く上から目線のCMは拒絶されるだろう。それと、芸術作品のように完成度が高すぎるCMは、面白い突っ込みの入れようがない。

 閉鎖的な企業風土が垣間見えるマーケティングは、若者には受けないだろう。少しのネガティブ情報でも受け付けない企業に突っ込むのは、本格的なクレーマーくらいだ。面白い突っ込みは期待できない。

 昨今はコンプライアンス(法令順守)を重視するあまり、マーケティングに関しても企業は委縮しがちだ。もちろん、法律を違反するようなことは言語道断だが、万人受けしないことは覚悟の上で、消費者に刺さるマーケティングにチャレンジする意気込みは企業にとって必要だろう。

 特に、予定調和的なマーケティングを嫌う若者に訴えるには、企業は「攻め」の姿勢を見せることが必要だ。これまで特集で連載してきたように、多くの企業が「若者に商品を売れなくなった」「若者の嗜好が見えなくなった」と嘆くようになったのは、リスクを恐れ、若者に向き合うことを止めた企業自身に責任がある。ヒカル氏のようなユーチューバーが若者から絶大な支持を受け、「インフルエンサー」として台頭してきた要因には、批判を恐れ若者市場を攻めることをしなくなった企業の姿勢もあるだろう。

 若者に向き合い続け、支持を得るために「理解不能」なマーケティングに挑み続ける日清から学ぶべきことは多い。