日経ビジネス9月11日号の特集「若者消費のウソ」では、総勢約300人の若者を対象にアンケートや取材を行い、彼ら彼女らの本音に迫った。スマートフォンやSNS(交流サイト)を日常的に使いこなし、多くの情報を取捨選択しながら賢く消費に結びつける姿勢は、ユニークである一方、企業のマーケティングの戦略がより試される時代に入っていることも感じさせた。

多くの若者の声の中でも、特に印象的だったのが大学生~社会人2年目までの女性4人に参加してもらい、腰を据えてじっくりと話を聞くことができた「女子座談会」だ。インスタグラムなどSNSの中で起きている消費のトレンドから、渋谷への厳しい評価、恋愛観まで多くの率直な意見が飛び出した。

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 8月19日、東京都渋谷区の「渋谷エクセルホテル東急」のラウンジに、座談会の呼びかけに応じて4人の若い女性が駆けつけてきてくれた。本特集ではインターネットのアンケートや街頭でのインタビューだけでなく、より深く若者の本音を聞く必要があると考えたためだ。参加してくれたのは、山名智子さん(23歳、大学生)、石川緋嘉子さん(23歳、新社会人)、中濱あやなさん(23歳、社会人2年目)、兵藤ゆう子さん(23歳、社会人2年目)である。

座談会には大学生〜社会人2年目までの4人の女子が参加してくれた。司会はドリコムの吉田優華子氏(右端)。(撮影は的野弘路)
座談会には大学生〜社会人2年目までの4人の女子が参加してくれた。司会はドリコムの吉田優華子氏(右端)。(撮影は的野弘路)

 今回、座談会の実施にあたり、募集や司会で協力してくれたのは、ネット企業ドリコムでアプリディレクターとして活躍する吉田優華子氏(27歳)。自身も20代ながら、若者のマーケティングやリサーチに精通している。

 ちなみに、ドリコムは企業としても若者向けのサービスに注力。2016年から始めたスマホ向けアプリ「PASS」では、お互いの位置情報を確認しながらチャットなどができる機能を通じて、リアルタイムの交流が可能。各地で行われているイベントなどと連携し、若者の新たなコミュニケーションプラットフォームを目指している。

 さて、それでは早速座談会の様子を紹介していこう。石川さんは諸事情により遅れたため、まずは3人でスタートすることになった(司会は吉田氏、記者の質問は「記者」で表記)。

吉田優華子氏(以下、吉田):最初に皆さんの消費の実態を知りたいと思った時に、まずどのように情報に触れているかが重要だと思います。スマートフォンのアプリ、SNSでいうと、どのあたりが主流なのかな。

山名智子さん(以下、山名):やっぱりツイッター、フェイスブック、インスタグラム(インスタ)が定番ですよね。

兵藤ゆう子さん(以下、兵藤):私はほぼインスタしか見ないですね。フェイスブックは絶対見ないかな。おじさんやおばさんがやっているというイメージがあって、若い人は抵抗感があるんじゃないかと思います。

吉田:フェイスブックは大人とのコミュニケーションのために使う感覚、ビジネス版SNSのような使い方なのかな。普段使いはどうですか。

兵藤:圧倒的にインスタですね。ツイッターは地震の時などには情報が早いので、震度とか震源地の情報がすぐに分かるという利点がありますよね。そうした場合には見ることもありますね。あと、最近はLINEの公式アカウント、例えば「東京カレンダー」などで気になる場所を見つけた時に、インスタで調べて、あとは公式のホームページを見るといった使い方をしています。

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