「企業はしょうもない芸能人ばかりをCMに使っている」
企業の若者向けのマーケティングや広告宣伝についても、率直な意見が飛び出した。
若者になかなか商品が売れないと嘆いている企業が多いです。若者にリーチできない理由は何だと思いますか。
ヒカル:しょうもない芸能人ばかりをCMに使っているからじゃないですか。テレビのCMなんて15秒ですよね。それに、出演している芸能人はその商品を好きなわけでもない。うわべの感じがすごく強いですよね。芸能人が心から薦めている思いが全く見えなければ、若い人は買おうとは思わないですよ。
ユーチューバーは5分とか10分で動画を作って、商品を紹介します。商品と触れ合う時間が長いですし、その商品を使うところを見せます。だから商品の魅力が伝わるんだと思います。
あとは、芸能人自体に力がなくなってきているというのもあると思います。彼らは、自分で発信できる場を持っていないので。事務所に与えられて初めて発信できる。でも僕たちユーチューバーはユーチューブっていう自分のチャンネルを持っている。ツイッターも自由に使えるから、ユーチューブで宣伝したことをツイッターで繰り返す、ということもできます。そういうふうに自分で調整できる、というのも大きいかなと思います。
若者の消費やネット活用の意識について、変化しているなと感じる部分はどこでしょうか。
ヒカル:インターネットが発達したことによって、昔であれば情報をラジオやテレビでしか収集できなかったところが、今ではもう誰でもある程度平等に、ネットを調べればどんな情報でも集められるようになった。それは大きな武器だと思いますが、それを活かせていない若者も多いと感じます。単純に遊びにしか使っていないのも、正直もったいないと思います。
ネットで得られる情報をもっと自分の生活、自己成長に生かすようにすれば、もっと若者の可能性は広がるはず。自分でネットを駆使することで多くのことが学べる世の中になってきているということを、若い子たちに伝えていきたいですね。
ここまで読み進めてきた読者の方々は、ヒカル氏の言葉に何を感じただろうか。彼が表舞台から姿を消す原因となったVALU騒動は、彼自身が謝罪の言葉を口にするように「身から出たさび」であり、業界内外に混乱を招き、これまでのファンからも非難を浴びたこと自体は擁護できるものではない。無期限の活動休止から、どのように復帰への道を探るのか、または別の道を選ぶのか、現時点ではまったくの未知数といえる。
ただ、インフルエンサーが大きな影響力に至った業界の状況や若者の意識の変化、また企業の若者向けマーケティングなどについてのヒカル氏の指摘には、取材班が頷かされる点もあった。ネット業界の中には、ヒカル氏のインフルエンサーとしての才覚を認め、「才能があるだけに騒動は残念だ」と語る関係者も少なからずいるのも事実。ヒカル氏のような存在にどのように向き合い、どう評価すべきか。企業には様々な問いが突きつけられている。
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