位置情報のプラットフォーム企業になる

オーバーベック氏:米グーグルは検索のプラットフォームを、米フェイスブックはSNS(交流サイト)のプラットフォームを、米アマゾン・ドット・コムはEC(電子商取引)のプラットフォームを構築しました。我々はこれからの変化を見据えて、地図サービス企業から、「位置情報のプラットフォーム企業」に変貌します。

 我々は2階層のプラットフォームを準備しています。一つは「I PaaS(インフラストラクチャー・プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」と呼ぶ階層です。我々は、世界中からロケーションに関わる全ての情報を集めます。自動車、スマートフォン、建物、交通インフラ…。全てです。

 IoT(モノのインターネット)で物体に設置したセンサーから得る情報もあれば、購入するものもあるでしょう。例えば、1台のクルマには既に40種類のセンサーが積まれています。ワイパーからは雨の情報を、ウインカーの時間から右左折するクルマの量が分かります。こうしたデータを我々は収集し、地図に組み込むことができます。

 自動運転では自車の位置を精度よく把握することも必須となる。地図上の標識や信号機、停止線と、センサーで認識した周囲の情報を照合すれば、正確に測定できる。

 さらに、数km先の事故情報などが地図で分かれば、それを回避するように自動的にルートを変更することもできる。道路の凍結情報や降雨情報が先に手に入れば、事故の予防もできる。つまり、地図はクルマのセンサーを補完する「第二のセンサー」であり、自動運転時代には必須の機能なのだ。

 ヒアはその自動運転用地図を世界中で作り始めている。高性能センサーを積んだ測量車を既に数百台レベルで保有し、高速道路を中心に高精度な3次元地図を作っている。それらをどう使おうとしているのか。

これまでカーナビで培ってきた地図上に、それらのデータを整理するということでしょうか。

オーバーベック氏:その通りです。膨大なデータを地図と組み合わせてスクリーニングします。その量のデータを扱える企業は世界に数社しかないでしょう。これまでは2次元でしたが、我々は3次元で高精度な地図とそのデータを組み合わせます。

レーザースキャナーを積んだヒアの測量車。レーザー搭載車だけで200台を保有し、世界中の道路情報を収集している
レーザースキャナーを積んだヒアの測量車。レーザー搭載車だけで200台を保有し、世界中の道路情報を収集している

 I PaaSの階層を作ることで、リアルタイム情報の組み合わせが可能になります。このプラットフォーム自体を我々はビジネスにします。交通渋滞の情報が欲しい企業や自治体、それにほかの種類のデータを組み合わせたものを欲しがる企業もいるでしょう。小売業や保険業などもビジネスの対象として考えています。

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