この機会にワークマンを知った一般客の心を掴むために、プロ向けに最適化してきた全国の売り場を変更し、季節感のある衣料品の存在感を大きくしていく。加えて、商品ごとに需要予測と発注を自動で行うシステムを開発し、店舗への導入を進めている。売り逃しや過剰在庫を防ぐと同時に、従業員が浮いた時間を新規顧客への接客や営業に回せるようにすることが狙いだ。

 一般客層もターゲットに入れることで、出店できる余地は全国1000店から1500店に拡大できるという。従来は人口10万人に対し1店の目安で出店してきたが、今後は7万人に1店の出店が可能になると栗山社長はみている。

ワークマンの栗山清治社長(写真:北山宏一)
ワークマンの栗山清治社長(写真:北山宏一)

変化を前提に次世代育成

 ワークマンの思いきった方針転換の背景には、市場環境がまたたくまに変化していくことに対する危機感が透けて見える。1990年ごろまで、同社の売り上げの2割程度はカジュアルウェアが占めていた。だが、ユニクロなどの手ごろな価格の衣料専門店にその売り上げを食われ、作業服・作業用品に特化することになったという経緯がある。しかしその業態も、リーマンショック後に建設工事が減少して需要が低迷し、2009年3月期と2010年3月期には減収減益となった。

 停滞の打開策としてワークマンが打ち出したのが、PBの強化だった。現在の高機能ウェアの展開も、そうして培ってきた商品開発力の上にある。プロ向けに磨いてきたノウハウを武器に、「カジュアル」の世界にも再び挑戦しようとする。アウトドアブランドが主な競合だが、ユニクロの機能性を重視する衣料ともバッティングする可能性がある。こうしたカジュアルファッションを狙うには、ねじり鉢巻きや安全ヘルメットをかぶった吉幾三のCMはそぐわない。

 栗山社長は2014年以降毎年、社員を米国の小売り・流通業界の視察へ送り出しているという。

 「今は一強のアマゾンにすら、長期的には強力な対抗企業が現れるかもしれない」と栗山社長は語る。「米国で成功している小売りの現場や、その栄枯盛衰を見ておくことが、なにより次世代の力になる」という。アマゾンエフェクトの直撃を受ける流通先進国の動きをにらみつつ、ワークマンも自己変革を急いでいる。

■訂正履歴
当初、本文に記載しておりました「人口1万人に対し1店の目安で出店してきたが、今後は7000人に1店の出店が可能になる」は、人口10万人に対し1店、7万人に1店の誤りでした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。 [2018/9/3 11:23]
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