これまでの態勢は、米国が中心にあり、日本や韓国がそれぞれ米国と2か国関係を結ぶハブ&スポーク型の同盟構造でした。これを、スポーク同士もパートナーとして協力するメッシュ型に変えていくわけですね。

小野寺:おっしゃるとおりです。

 例えばフランスは太平洋に領土を持っています。このため、太平洋とインド洋における航行の自由に大きな関心を持っています。中国に対しても懸念を抱いている。

 中国は一帯一路政策の一環として、太平洋諸国のインフラ開発にも関与を強めています。資金を高利で貸し付け、中国企業が建設を請け負い、返済が滞ったら港湾などの長期使用権を獲得する。スリランカのハンバントタ港で起きたのと同様のことが起きているのです。

 英国はもともと海洋国家なので、インド太平洋地域の航行の自由に関心を持っています。加えて、EU(欧州連合)からの離脱を決めたので、英国とアジアとの独自の関係を築いていこうとの意識を強く持っています。

 本来なら韓国との関係も強化していきたいところです。ただ強化できるタイミングとできないタイミングがあるのでそれを見極めて進めていくことになります。

F-Xに政治が過度に関与すべきでない

防衛装備の移転についてはどうでしょう。

小野寺:2014年に、武器輸出三原則を防衛装備移転三原則に改めました。武器輸出三原則による規制は厳しく、現在導入を進めている戦闘機「F-35」の共同開発に加わることができませんでした。これが苦い経験になったからです。

 F-35には日本が開発した技術がいろいろ使われています。複合材、ステルス塗料、電子部品――。であるにもかかわらず、共同開発に参加できなかったため、導入を進めるには購入するか、組み立てを担当するかしかありません。

 防衛装備移転三原則の下では、「日本の防衛に資する」ものであれば共同開発に参加できます。

2030年ごろから退役する「F-2」の後継として「F-X」が注目されています。これは共同開発すべきとの考えですか。

小野寺:いえ、いま防衛省の専門家が検討しているので、これを待つべきです。技術的にみて最新鋭かつ最高のものを導入することをいちばんに考える。次に、どういう形であれば保有できるか、を考えるべき。もちろん日本の技術を使って開発できればそれに越したことはありません。それができるかどうかを含めて検討すべきです。

 政治が過度に関与すべきではありません。過去を振り返っても、政治が介入してよいことはありませんでした。

潜水艦や、救難飛行艇「US-2」に続いて、国産哨戒機「P-1」の輸出が注目されています。

小野寺:「P-1が必要だ」という国があるなら、活用してもらえばよいでしょう。ただ、秘匿性の高い技術や、米国から提供されている技術もあると聞きます。この点は慎重に検討すべきです。