小野寺:そうです。相手国がミサイル攻撃をする時、防衛するのが最も易しいのは発射する前か発射した直後のブーストフェーズ です。目的が把握しやすいですし、スピードも遅いですから。一方、防衛するのがいちばん難しいのは落下してくるターミナルフェーズ。速度が非常に速い。次に難しいのはミッドコース。弾道の最も高いところです。

 なので、発射する前、発射した直後に打ち落とすのが最も好ましいわけです。ただし、この段階のミサイルは相手国の領土内にあります。日本はこれまで相手国に達するようなミサイルをもって攻撃はしない、という方針できました。なので、しかたなく、ミッドコースやターミナルフェーズで迎撃する努力をしているわけです。

敵基地攻撃能力の問題は、基本政策の一つである「専守防衛」との整合性が議論されます。

小野寺:その点については、政府が1956年に以下の統一見解を出しており、自国を守るために相手国の領土を攻撃することは憲法上許されると解釈されています。

「我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」と述べています。

敵基地攻撃能力についても大綱でふれますか。

小野寺:政府がどのような案を出すのかまだわかりません。政府はこれまで一貫して反撃能力を持つ予定はない、検討はしない と答弁しています。ただし、党内では議論を続けていくべきと考えています。

安保法制で平時の日米協力を強化

前回の改訂から今日までに起きた変化として、安全保障法制の制定があります。これに伴って大綱に新たに盛られる事項があるのでしょうか。

小野寺:安全保障法制によって何が変わったか、についてお話ししましょう。まず、日本の防衛について、具体的な想定をもって議論したり訓練したりできるようになりました。これまでも議論はしてきましたが、十分に訓練をすることはできませんでした。

 例えば、ある国が日本を攻めたとします。これを防ぐべく自衛隊が出動し、日米安保条約に則って米軍も出動する。それぞれがお互いを守りあう必要が生じます。しかし、これまではその訓練ができず、実際に有事となった時に実行することを迫られていました。

平時からの準備は、自衛隊法が改正され、平時でも米軍などの部隊を侵害から防護できるようになったからですか。