ミサイルの発射基地を機能しない状態にしなければ、また次のミサイルが飛んでくるのです。イージス艦をはじめとするミサイル防衛システムがすべてのミサイルを迎撃できるとは限りません。今の状態は弾道ミサイルへの対応として十分とは言えないのではないでしょうか。

 敵基地攻撃能力を備えることで、相手に弾道ミサイルを使う気を起こさせなくする拒否的抑止が強化される効用もあります。弾道ミサイルは、北朝鮮だけでなく中国もロシアも配備しているのです。

 この点を国民に理解していただきたいと考えます。「専守防衛」を強調するのはやめて、新たに「積極防衛」に変えるべきではないでしょうか。もしくは、かつて使われていた「戦略守勢」にするべきと思います。これは、「攻勢に出ることはない」という意味です。

日本が戦わなければ、米軍は動かない

尖閣諸島の防衛についても誤解があるように思います。グレーゾーン事態*3では米軍は何もすることができません。大量の中国漁船が押し寄せ、日本の領海に侵入。漁民の一部が魚釣島に上陸するといったケースですね。

*3:有事とは言えないが、警察や海上保安庁の装備では対応しきれない事態

火箱:そうですね。上陸した漁民が実は偽装していた軍人で、同島に軍事施設を建設し始める。こうして中国が施政権を行使するようになれば、米国は日米安保条約の適用範囲から同島をはずすことも考えられます。

 仮に明確な軍事攻撃であったとしても、米軍はすぐに出動してくれるわけではありません。かつて米軍の元将官に明確に言われたことがあります。「まずはお前たちがやれ。お前たちがやるなら俺たちも寄り添う」。米国の立場に立って考えれば、これは道理です。

 防衛大綱には「島嶼の防衛、奪還は日本人が自らやる」といった趣旨を書き込むのがよいのではないでしょうか。米国に守ってもらう--という発想からは脱却しなければいけません。

主権が侵害されたら自衛権を行使できるようにする

安全保障法制が施行され、自衛隊の活動領域が法的に広がりました。「自分の国は自分で守る」との観点から、これで十分でしょうか。

火箱:確かに改善したと思います。しかし、まだまだ十分とは言えません。領域警備法を制定して、尖閣諸島周辺で起こるグレーゾーン事態などの主権侵害に対して自衛権を発動できるようにすべきです。そうでないと、十分な活動ができません。

 例えば平時の情報収集を作戦任務に位置付けて、武器の携行を許し、何かあった時に身を守れるようにする必要があります。今、情報収集のための哨戒活動は「調査・研究」に位置付けられています。このため、尖閣諸島周辺を飛ぶ哨戒機は武器を携行せず丸腰で飛んでいる状態です。

 領空侵犯に対応する航空自衛隊にも、領空侵犯した航空機の撃墜を認める。今は警察権の行使として行っているので、侵犯の恐れのある航空機に対して「出ていきなさい」と警告することしかできません。警告を無視されても、正当防衛でない場合に武器を使用することはできません。

 国際標準では外国の侵犯した航空機は撃墜してもよいことになっています。仮に撃墜しても、すぐに戦争につながるものではありません。トルコが2015年11月、ロシア軍機がトルコ領空を侵犯したとして撃墜したことがありました。両国の関係は悪化しましたが、戦争には至っていません。