今年末をめどに防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)が改訂される。
前回の改定から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。2017年11月には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を打ち上げ、「米本土まで届く」と主張した。
トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策も変化した。トランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長と史上初の首脳会談を実現し、完全な非核化で合意した。しかし、その進展度合いには疑問がつきまとう。
米国と覇を競う中国に、防衛費の拡大ペースをゆるめる気配はない。
防衛大綱と中期防の改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。
シリーズ
「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策

完結
14回
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「いずも」空母化がもたらす3つのメリット
政府が12月18日、新たな防衛大綱を閣議決定し、今後10年をめどとする防衛力の在り方を定めた。サイバー、宇宙、電子戦など新たな戦域までを視野に入れる「多次元統合防衛力」と呼ぶ新たな概念を定めた。専門家は新防衛大綱をどう評…
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防衛大綱改定へ、技術安全保障の議論が不可欠
防衛大綱が12月18日にも改定される。これに向けて、人、カネ、技術を議論する必要性がこれまで以上に高まっている。特に技術だ。「国の技術力が、一国の安全保障に直結」するようになった。これを守り育てる方策を考える時期が到来し…
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防衛大綱改定へ、日米同盟の信頼性が揺れる中で
防衛大綱と中期防衛力整備計画が12月18日にも改定される。これに向けて、日米関係の現状と日米同盟に対する姿勢を改めて議論する必要がある。トランプ大統領の存在が同盟に不透明性をもたらしている。
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ロシアのクリミア併合から戦い方が変わった
「相手国がミサイル攻撃をする時、防衛するのが最も易しいのは発射する前か発射した直後のブーストフェーズ。なので、この段階で打ち落とすのが最も好ましい。この議論を続けていくべきと考えている」
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間違いだらけの日の丸特許戦略
「技術安全保障」を確立すべき--。「食料安全保障とかエネルギー安全保障という言葉ありますよね。技術も同様に重要で、しっかり守らなければならないと考えています」。日本企業は特許を取るべく技術を公開して損をしているのではない…
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“日本版海兵隊”、第3の連隊は沖縄本島に置け!
防衛大綱と中期防を改訂するに当たって我々は何を考えるべきなのか。小谷哲男・明海大学准教授 に聞いた。同氏は、離島防衛の核となる水陸機動団の統合度を高めるとともに、第3の連隊を沖縄本島に置くべきと唱える。
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「自衛隊はまず『盾』の役割を十分に果たせ」
「北朝鮮が平昌五輪に参加。その後、南北首脳会談、米朝首脳会談と続き、融和と対話のプロセスに入りました。これまでの20年間において、考えられないような変化が起きたと認めざるを得ません。大綱を改訂する前にこの情勢を改めて評価…
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米軍が日本防衛に来援しない4つの理由
政府は今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を改訂する。外務省で国際情報局長や駐イラン大使を歴任した後、防衛大学校教授を務めた孫崎享氏は「米軍が来援しない事態も考えるべき」と訴える。
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戦争は政治力で防ぐ! 日米同盟に頼りすぎるな!
防衛庁(当時)で運用局長を務めたのち、官房副長官補(安全保障・危機管理担当)として日本の安全保障の第一線に立った柳澤協二氏は「現状は米国の拡大抑止に頼りすぎ。戦争は政治の力で回避すべき」と訴える。
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宇宙・電脳・電磁戦を担う統合部隊を創設せよ
今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」が改訂される。改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。若宮健嗣・自民党国防部会長に聞いた。同氏は宇宙・サイバー・電磁スペクトラム戦を担う統合部隊の創設を検討すべき…
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積年の防衛費減が招く日米同盟の危機
防衛大綱と中期防の改訂で我々は何を考えるべきなのか。自衛艦隊指揮官を務めた香田洋二氏は、積年の予算減がもたらした装備の劣化を懸念する。「自衛隊と米軍は日米同盟の両輪。自衛隊が小さくなれば、日米安全保障は前に進めなくなって…
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中国の空母「遼寧」に対抗する意図の艦船は論外
年末に予定される防衛大綱と中期防の改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。自衛艦隊指揮官を務めた香田洋二氏は、有事に米軍が来援するのを支援する機能に関する議論が十分でない懸念する。
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自衛隊は「盾」、米軍は「矛」のままでよいか?
「我が国は『防衛の基本政策』で『専守防衛』を謳っています。侵略戦争は行わない、という点は大賛成です。しかし『相手から武力攻撃を受けた時にはじめて防衛力を行使』のでは、最初に攻撃を受けた国民は守れないではないですか」
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「日本は北東アジア防衛の最前線に立たされる」
今年末をめどに防衛大綱と中期防衛力整備計画が改訂される。前回の改定から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策も変化した。改訂に当たって我々は何を考えるべきなの…
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全8回