佐野史明氏(中央)は北京の環境ベンチャーに飛び込んだ

 中国が環境汚染の改善に本腰を入れ始めており、その影響で摘発を受ける日本企業が増えている(前回9月6日公開の「揺らぐ日本企業の『環境先進』イメージ」を参照)。その一方で、中国の規制強化は数々の環境技術を有する日本企業にとって大きなビジネスチャンスにもなるはずだ。

 もちろん水処理膜の分野などで、独自の強い技術を持ち、中国で成果を上げている企業もある。しかし、中国において環境関連で活躍している日本企業はそれほど多いとは言えないのもまた事実だ。

 ここ数年の日本と中国の関係から積極的に中国で事業を手がける企業が減っているといった事情もあるだろう。また環境関連のビジネスは政府が相手となることも多いため、日本企業が入りづらい側面もある。しかし、「環境汚染大国」の中国が汚染大国から脱しようとしている今だからこそ、日系企業が活躍できるチャンスも大きいのではないか。

 日本の技術で中国の環境問題を解決する——。そんな理想を持って単身中国の環境関連ベンチャー企業に飛び込んだ日本人がいる。北京国能環科環保科技で働く佐野史明氏だ。

 

 佐野氏が初めて中国を訪れたのは2002年。まだ高校生だった。佐野氏が通っていた学校は北京の高校との間で、短期の交換留学制度を設けていた。この制度で北京の地を踏んだ。この時、出会ったのが現在働く国能環科の創業メンバーで、現在同社のゼネラルマネジャーを務める安碩氏だった。

 高校を卒業した佐野氏は東京大学に進み、農業について学ぶ傍ら、中国での緑化活動にも参加した。当時から中国の環境問題には関心があったという。

 2008年に大学を卒業した後、大手商社に就職したのは中国の環境に関連するビジネスができるのではないかとの期待もあったからだ。だが、担当したのは米国での食糧のビジネスだった。

 そんな時、友人の安氏から中国で環境関連のビジネスを立ち上げるとの話を聞いた。安氏は高校の途中から英国に留学、ケンブリッジの大学と大学院を出て、ロンドンでコンサルタントとして働いていた。もう1人の創業者であり、現在会長を務める王邁氏の誘いを受けて、中国に戻ることを決めたのだという。