経営に終わりがあったらいけない

これまで三菱重工には持続的に発展するという発想はなかったのでしょうか。

木村:それは私に聞かないでほしいですね。上の世代の話なので、なんとも言えません。ただ、三菱重工であれば、持続的に発展するだろうと思い込んでいた人は多かったのかもしれません。昔の高度経済成長期の時代はそうであったかもしれませんが、日本の市場が変わり、三菱重工だから持続的であるという時代ではなくなりました。

 私はプロジェクトマネージャーをやっていた期間が長いのですが、プロジェクトと経営は違います。プロジェクトは期限がありますが、経営は終わりがあったらいけません。終わるということは潰れるということです。だから持続性が必要です。

一連の改革は三菱重工の歴史上、どんな転換点になりますか。

木村:世の中が変化すれば、当社も常に変わらないといけません。改革がこれで終わりとは思っていませんよ。組織を変えるのが目的ではなく、事業を持続的に発展させることが目的ですから。いまの三菱重工の組織体は、少なくとも、今考えられるベストな形は作れたと思います。ただ、未来に何が起きるかはわかりません。

アナリストは三菱重工にコア事業がないことや、事業ポートフォリオの整理が進んでいないことを危惧しています。

木村:それはコングロマリットという企業体がいいか、悪いかの議論にもなると思います。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は世界シェアが1位の事業だけは持つと宣言しています。その戦略が正しいのであれば、なぜ業績が急に崩れたのでしょうか。世の中が変化する中で、1本足打法に持続性があるかどうかは疑問を抱いています。未来永劫、成長する事業は基本的にはありません。問題は、コア事業が不調になったときに、すぐ次の事業に移れるかどうかです。欧米の企業は不振事業を売り飛ばして、従業員を削減することがしやすいですが、そういったやり方は日本企業には難しいですし、日本企業の文化に合っているとは思えません。

 三菱重工は500の製品を持っていますが、それは重工業という枠組みの中での製品群です。金融業や商社の仕事はやっていません。弱電もやっていません。我々がやっているコングロマリットは限られた範囲の中だけです。ただ世界シェアが1位の事業がないのは事実です。それは今後の課題として、1位、2位のものを育てなければいけません。