GE、シーメンスとは人間力で勝負

GE、シーメンスはなぜ売るのがうまいのですか。

安藤:GEが世界で販売したガスタービンは1万台以上で、我々より一桁大きい。特に北米の大電力会社とのパイプが太い。人間と人間の関係、実績、経験、人間力、組織力が合わさり、注文を取る力になっている。シーメンスも米国では長い歴史を持つ。一方、東南アジアは平場の戦いだ。最近は米国に留学した若い人たちが会社のトップになっているが、インドネシアやタイには私の入社前からのお客さんもいる。人間力で勝負していかなければならない。

平場の戦いでは、どういった点がポイントになってきますか。

安藤:東南アジアやバングラディシュのお客さんは性能第一で考える傾向が強い。輸入のガスを炊くことが多いので、高効率で信頼性の高いタービンを求める。ただ、性能や信頼性で勝負する場合、ダントツにならないと受注には至らない。

 あとは、やはり価格だ。MHPSには品質が1番なら勝てるという甘い部分があったが、今は違う。少し利益率を下げても、東南アジアではGE、シーメンスに受注を絶対に取らさない。長期的な品質の良さを信頼してもらえているので、ライフサイクルのコストで最も安いことをアピールしていく。中国・韓国勢はまだ後方で、当面はGE、シーメンスとの戦いになる。GEは今後、もっと激しい競争に出てくると思う。ここから21年度までが正念場だ。

三菱日立パワーシステムズの4工場内で生産品目を再編、高砂工場ではガスタービンを生産する(兵庫県高砂市)

世界で戦うベースを整えるなか、三菱重工は事業所制を廃止して、指揮系統を本社に一括しました。従来の事業所の強みはどこにありましたか。

安藤:利益の源泉は事業所にある。いくら本社が頑張っても、製品をつくっているのは事業所だ。ものづくりのコスト競争力をマネジメントするのも事業所だ。ただ、あまりに強すぎたので、『(タービンなどを製造する)長崎(造船所)と高砂(製作所)は犬猿の仲だ』とか言われた。中ではそう思っていないのだが。

 事業所にはそれなりの水準のことをまとめる力、組織力があった。ただ、狭い世界だからできた。市場が海外に移れば、人と考え方が限定されていては勝てない。(佃和夫)相談役が社長の時代からもう少し広い考え方を取り、事業所を流動化させ、人材を入れ替えていった。使える人脈、能力、考え方は幅広くなった。