知見を広げる「たすき掛け人事」

 新統合会社が発足して半年が経った今年4月には組織改編も実施。設計部門の統合が完了して、文字通り「4社混成部門」となった。

 この際、「たすき掛け人事」も行った。例えば、エンジン式に明るいエンジニアに、あえてバッテリー式を担当させるといった人事だ。その狙いを御子神氏はこう話す。「将来、フォークリフトの駆動源の主流がエンジンとバッテリーのどちらになっても対応できるようにするためだ。それにはまずは社員一人ひとりに知見を広げてもらわないと」。そして、こう続ける。「社員の知見が広がれば、事業の足腰は強くなるし、組織の融合にもつながるでしょう」。

ニチユ三菱系の京都工場(京都府長岡京市)は活況が続く
ニチユ三菱系の京都工場(京都府長岡京市)は活況が続く

 見えてくるのは「4社のいいところを持ち寄る」(御子神氏)という考え方だ。4社にはそれぞれの強みもあれば、弱みもある。強い部分はより強く、弱い部分はそれぞれの経営資源を足しあって補っていく。その考え方を徹底することで、4社の力を最大限に引き出そうというわけだ。

 販売部門のシステム統合でも、比較的新しいニチユ三菱系をベースに構築するが、ユニキャリア系のシステムの良いところも残す。購買部門が計画する部品の共同購買では、性能や価格のバランスを見ながらも、これまでのしがらみを捨てて最適な部品調達先を確保する。製造部門でも最適地生産を徹底する覚悟だ。

 無人運転のフォークリフトの開発を担当するニチユ出身の森慎治氏は「メンバーには色々な会社の人間がいるが、どこの出身かという『背番号』は気にならない」と言い切る。

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