かつて稼げない事業という位置づけだった三菱重工業のフォークリフト事業。売り上げ規模は小さく世界首位の豊田自動織機の背中は遠かった。そんな事業部門が今、世界3位の地位を磐石にする。4社統合でそれぞれの力を引き出す術を身につけたからだ。※日経ビジネス8月27日号では三菱重工業が取り組んだ経営改革の特集記事を掲載しています。

 まずは、この会社の歴史から振り返ってみよう。2017年10月に発足した「三菱ロジスネクスト」(京都府長岡京市)。フォークリフトで世界3位の座を磐石にする企業である。

 この会社の源流は4社からなる。三菱重工業のフォークリフト部門、日本輸送機(ニチユ)、日立建機子会社のTCMと日産自動車子会社の日産フォークリフトだ。

 このうち2013年に三菱重工のフォークリフト部門とニチユが統合して発足したのが「ニチユ三菱フォークリフト」。TCMと日産フォークリフトはこれに先立つ11年に「ユニキャリア」として再スタートを切っていた。このニチユ三菱とユニキャリアが統合してできたのが三菱ロジスネクストだ。

 三菱重工のフォークリフト部門からすれば、わずか4年のうちに2度も他社と統合するという“荒治療”。自前主義が強くてプライドも高いといわれてきた三菱重工の歴史から見ても、かなり異例の事業再編といえる。

 だが、三菱重工出身で三菱ロジスネクスト社長に就いた御子神隆氏は「統合アレルギーがないので、PMI(買収後の統合作業)は想定以上に早く進んでいる」と手ごたえを口にする。

 御子神社長の言葉通り、三菱ロジスネクストの各部門で統合作業が急ピッチで進む。

旧ユニキャリア系の工場だった滋賀工場で来年にはニチユ三菱系機種の生産が始まる

 黄色や白色のフォークリフトが並ぶ滋賀工場(滋賀県近江八幡市)。ここは元々ユニキャリア系の工場だったが、その一角で緑色が目印のニチユ三菱系のフォークリフトの生産準備が進む。「来年2月にニチユ三菱系の大型機の生産を、神奈川県相模原の拠点から移すために、試験生産をしているのです」。TCM出身の生産本部滋賀製造部長の田島恭介氏は誇らしげに語る。