供給量を現在の3倍に

 現在、奄美実験場で育てたマグロは主に、東京・銀座と大阪にある養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」に卸されている。生産量自体はまだそれほど多くないのが現状だ。

 しかし、世界で初めて完全養殖に成功した近畿大学は、着々と「近大マグロ」のブランド化を進めている。2010年から提携関係を結んでいる豊田通商との協力のもと、2020年までに「近大マグロ」の供給量を80トンから現在の3倍となる240トンまで高めようとしている。また、孵化させたマグロの稚魚を養殖業者に販売するビジネスも手がけている。

 養殖マグロの出荷量約1万トンのうち、完全養殖マグロの出荷量は蓄養と比べてるとまだまだ少ない。稚魚から育てるため、手間もコストもかかる。いかに成魚になるまでの「歩留まり」を高めるか。餌のコストをいかに抑えるか。ビジネスとして軌道に乗せるために解決すべき課題は多い。それでも、技術は確実に進歩している。近畿大学がそのリーダーシップを取っていることは間違いないだろう。