日本の漁業は右肩下がりが続きますが、世界的に見れば漁業は成長産業なのです。次のグラフを見てください。

漁業は世界的な成長産業だが……
漁業は世界的な成長産業だが……
注:2013~15年平均との比較
出所:2点とも国連食糧農業機関(FAO) CONTENTS
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 世界の漁業生産量は伸び続けています。2000年におよそ1.3億トンだった生産量は、2025年には2億トンに迫る水準になると予想されています。

 主な国・地域別に今後の成長予想を見てみるとどうなるでしょうか。2013~15年平均と2025年(予想)を比較すると、漁獲量を急速に増やしている中国のほかインド、ノルウェーなどが軒並み大きく成長する一方、日本はマイナスです。もともと漁業の規模が大きかったことを差し引いても、成長産業の中で独り負け状態になっているのは寂しい限りです。

 苦境に陥っているのは、海外勢の進出による漁獲競争の激化や地球温暖化による影響、日本人の魚離れなど様々な要因が指摘されています。しかし、時代の先を見越した改革に踏み出せなかったことも影響しているのです。

船は小さく老朽化も課題
●漁船数と漁業者数の比較
●漁船数と漁業者数の比較
出所:「2016年度水産白書」のデータを基に作成
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●漁業者の所有船の船齢
●漁業者の所有船の船齢
注:指定漁業許可船が対象。指定漁業のうち、大型捕鯨業、小型捕鯨業および母船式捕鯨業を除く。大中型巻き網漁業は、探索船、灯船、運搬船および海外まき網船を含む
出所:水産庁調べ
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漁船1隻の規模、ノルウェーの10分の1以下

 わかりやすい例が漁船でしょうか。2016年度の水産白書によると、日本には約15万隻の漁船がありますが、平均トン数は4トン。韓国に比べると半分以下、ノルウェーに比べると10分の1以下です。もちろん、遠くに出かける漁業が多い国と日本のように近場に漁場がある国とを単純比較はできませんが、漁獲に必要な「設備投資」が進んでいるとは言いにくいでしょう。

 それは所有船の船齢にも現れています。水産庁の調べでは 日本の漁船は約6割が20年以上となります。今回の連載で8月31日公開を予定している「ジム付き漁船、ノルウェーの贅沢な漁師たち」で紹介するように、世界では最新鋭の漁船を投入して競争力を高める動きがありますが、日本は事業者当たりの規模の小さいのでなかなか大型投資に踏み切れません。

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