中小製造業は「労働市場の奇跡」に取り残された

 「労働市場の奇跡」に、ドイツの中小製造業は取り残されてしまったようにも見える。その正確な理由は分からないが、例えば独KfWが発表している中小企業に関するサーベイ調査である「SMEパネル2016」の中では、中小企業オーナーの高齢化や、後継者不足の問題が指摘されている(図8)。

 同調査の中では、60歳以上の経営者はビジネスの先行きに対して悲観的となり、投資に慎重になるとの分析が示されている。同調査の中で示された60歳以上の経営者のうち、2015年に投資を行った経営者のシェアは34%に過ぎず、投資を行った40歳未満の経営者のシェア(61%)と大きな開きがある。設備投資がなされなければ、やがて付加価値の減少や、事業の閉鎖に繋がる可能性があろう。

 特集でも触れられた通り、ドイツの大企業製造業は、インダストリー4.0と呼ばれるIoT(モノのインターネット)技術の推進などを通じ、息を吹き返しつつある。しかし、新規IT投資も必要とされる新技術の導入は、中小製造業に浸透しているとまではまだ言えないようだ。ドイツがこれからも製造業大国で居続けるためには、中小製造業の国内投資を活性化させつつ、世代交代を円滑に進めていくことが必要になるだろう。

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