デジタル時代にも創業者の理念を守り続ける

(写真:永川智子)

市場で圧倒的なシェアや技術を保有する企業が、技術変化に対応できず、不振に陥る「イノベーションのジレンマ」という理論があります。ドイツの自動車業界はデジタル技術の登場で、こうした状況に置かれているようにも思えます。

デナー:我々の成長の源泉は、常に新しい技術の発掘であり、卓抜した製品を生み出すことにあります。ボッシュはイノベーションによって破壊されるのではなく、常にイノベーションを起こす側にいると自負しています。だからこそ、売上高の約10%を研究開発に振り向けてきました。2016年にその金額は70億ユーロ(約9100億円)にも達しました。

 イノベーションのジレンマを回避するには、技術トレンドと顧客ニーズを徹底的に知ることが欠かせません。そのためには、未知の技術を含めたあらゆる可能性に投資する覚悟が求められます。例え、それが成功するかどうか分からなくても。これは、創業者であるロバート・ボッシュがやり続けてきたことでもあります。財務の独立性(編集部注:ボッシュは非上場企業で大株主は創業者の理念を引き継ぐ財団)を保ち、社会に貢献する開発を続ける。それ以外に、変化に対応する道はないと信じています。

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