完全自動運転の実現めざし約3000人が開発に関与

デジタル分野でイノベーションを起こしていくためには、社外との連携も大切です。どんな取り組みをしていますか。

デナー:もちろん、全てをボッシュ単独ではできません。状況に応じてパートナーと組んで、ビジネスを広げていく必要があります。

 例えば、自動運転分野ではダイムラーと技術協力し、完全自動運転の実現を目指しています。現在は世界で3000人ほどのエンジニアが、この分野の開発を進めています。

 伝統的なビジネスと同時に、新しいビジネスにも積極的に投資をしなければなりません。そのために昨年、スタートアップを支援するビジネスユニットも設立しました。ボッシュ社員にも、社内起業を奨励しています。ボッシュにいながら、起業家とのネットワークを構築することもできます。既に社内に設立しているベンチャーキャピタルと合わせて、技術、人脈、資金の3つの面から常に新しいトレンドをキャッチしておく体制が整いました。

デジタル化の進展と共に、業界の垣根は徐々に消滅し、従来であれば異業種だった企業との競争にもさらされるようになっています。こうした環境でもボッシュが競争力を維持するために必要な要素とは何でしょうか。

デナー:企業文化の育成に尽きると思います。特に、社内のコラボレーションと社員のモチベーションを高める努力がより重要性を増していきます。そのために、社員にできるだけ権限を委譲して自律的に仕事ができる環境を与えて、しかも社員が会社の製品やソリューションを通じて、どんな付加価値を社会に提供できるかを明示する必要があります。

 社員が働く環境もとても大切になるでしょう。コネクテッドの世界が到来すれば、もはや従来のように工場に朝9時から午後5時まで集まって働く必要がなくなるかも知れません。場所の制約から解放され、新しい働き方が可能になるでしょう。

 その意味で、未来の職場がどうなるのか、常にイメージしながら経営に当たっています。それは、単純なオフィス環境だけでなく、制度なども含めて、社員のコンディションをベストに保ち、かつ刺激に満ちたものにすることが大切だからです。

 ただ、ボッシュが創業以来掲げてきた理念は変わりません。「Invented for Life」というスローガンが示すように、ボッシュはいつまでも人と社会に役立つ先進技術を提供する会社であり続けたいのです。