組織の停滞を防ぐために若者を抜擢

昨年、SAPのCOO(最高執行責任者)に当時34歳だったクリスチャン・クライン氏を抜擢しました。同時期に任命したCIO(最高情報責任者)のトーマス・ザウアーエシッヒ氏も当時31歳でした。要職に若い人材を登用する狙いはどこにありますか。

マクダーモット:その理由は、大きく3つあります。1つ目は、社内の活性化です。今さら言うまでもありませんが、組織は常に新しい発想やアイデアを必要としています。リーダーは、組織を停滞させないために、組織にどうやって刺激を与え続けるかを考えなければなりません。

 私自身、長い間リーダーを務めてきて、そうした組織を変えるようなアイデアを持っているのは、若い世代が多いと実感しています。彼ら、彼女らを信頼し、抜擢して大きな仕事を任せれば、良い結果が返ってくることを経験的に知っています。

 もちろん、ベテラン社員だって、意欲とアイデアを持って前向きに組織を変えてくれる人材は多くいます。それでも、会社に長く在籍し過ぎると、そこで培われた常識にとらわれがちになるものです。そのためにも、新しいエネルギッシュな人材を一定数、組織の重要なポジションに配置する必要があると考えています。

 その意味で、昨年、COOに指名したクリスチャンはロールモデルの役割をしっかりと果たしてくれています。SAPのCOOとして、全社に関わる重要な案件のプロジェクトを強力に推進してくれています。

 何よりも、意思決定と行動が早い。失敗を恐れずに、次々と挑戦していく。若さが持つ特権かも知れませんね。その行動力で、ハッソ・プラットナー(SAPの共同創業者)の肝いりプロジェクトだった「デジタルボードルーム」というサービスの実現に大きく貢献しました。

SAPのクリスチャン・クラインCOO(最高執行責任者)。SAPの若手のロールモデルとして期待されている(写真:Mira Haupel)

 彼や、CIOに就任したトーマスのおかげで、若い世代もより活気づいています。SAPに入れば、30代でも大きな仕事を任せてもらえ、自分を成長させることができる場があると、再認識してもらえています。