日経ビジネスオンラインでは、本誌特集(2017年8月21日号)との連動企画「ここまで来た!デジタル ドイツ アディダス、VW、シーメンスの変身」で、急速に進むドイツ企業のデジタル化の最前線をリポートしている。この「インダストリー4.0(第4次産業革命)」とも呼ばれるドイツ企業のデジタル化の裏には、それを支える重電大手、シーメンスの存在がある。
13年にCEO(最高経営責任者)に就任したジョー・ケーザー氏は、就任後に発表した中期経営計画「ビジョン2020」に沿って大胆な組織再編に着手。デジタル化を積極的に進めている。「我々はもはや、製造業ではない。ソフト企業の世界大手でもある」と語るケーザーCEO。従来の製造業の概念を壊し、モノ作りのノウハウにソフトを融合したデジタル製造企業への転換を急ぐ。ケーザーCEOに、その戦略を聞いた。(聞き手は 蛯谷 敏)

1957年6月生まれ。80年の入社以来、シーメンス一筋。半導体事業、情報通信事業を経て2004年にCSO(最高戦略責任者)、06年にCFO(最高財務責任者)。13年からシーメンスCEO。独ダイムラー、独アリアンツなどの監査役会メンバーも務める。(写真:永川 智子)
2013年のCEO就任以来、デジタル化を軸に事業の構造改革を進めてきました。
ジョー・ケーザーCEO(以下、ケーザー):長期的なビジョンに基づく我々の中期経営計画が順調に進んでいることに安心しています。中長期の目標に向かって、着実に進んでいるとの手応えがあります。
CFO(最高財務責任者)からCEO(最高経営責任者)に就任したのは、ちょうど13年の夏でした。就任後すぐに、経営幹部に「我々には何が必要か」というテーマについて、徹底的に考えてもらうようにお願いしました。A4の紙一枚にまとめるように宿題のようなものを出したのです。それぞれの部門が抱える課題や目標は何かとね。
休みが明けて、幹部たちから多くの回答が集まりました。それぞれが、シーメンスの抱える課題について、的確に指摘していました。ただし、大半は自分の管轄する部門以外について指摘していたのですが(笑)。
とにかく、私と幹部たちが目指す方針に違いはなかった。その後、幹部と議論を深めて作成したのが、14年に発表した中期経営目標の「ビジョン2020」です。
その内容を端的に表現すれば、シーメンスをよりデジタル化していくための計画です。あらゆる産業がデジタル化していく中で、それを我々の事業機会にしていくというものです。
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