都会と地方の「格差問題」を解消へ


 あれほど、ポケモンGOの熱狂を報じていたメディアは、早くも「ポケモンGO離れ」「ピークを過ぎた」などと手のひらを返し始めた。だが、配信直後の爆発的な普及速度は、過去のどのアプリを超えるものであり、そこからダウンロード数などの指標が落ちるのは当然、とも言える。初速がすごすぎたのだ。

 ポケモンGOが定着するか否かを論じる上で重要なのは、ユーザーや受け入れる社会の不満をどう解消していくか。当事者は、課題をどう捉えているのだろうか。

 地方ではポケストップやジムが少なく、地方ユーザーからは不満も出ています(「『東京うらやましい」ポケモンGO、地方の嘆き』を参照)。

宇都宮専務:都会と地方の格差問題については、大変多くのお問い合わせをいただいており、課題意識を持っています。何とかしたいと思っていますし、むしろ都会から地方へと足が向かうようなことができれば、と考えているところです。ただ、ここは技術的なところも含め、少し時間をかけながら解決していかなければならない、とも思っています。

 ポケストップやジムは、イングレスのポータル情報を流用しています。つまり、もともとポータルが少ない場所は、ポケストップやジムも少ない。解決には、新たにポータルを増やす取り組みが必要です。

宇都宮専務:そこはナイアンティック側の判断になりますが、(地方格差を)ポータルで解決する場合はそうですね。ただ可能性はいろいろ模索したいと思っていまして、ポータル以外にも、そもそもポケモンが出にくいとか、いろいろなことが言われていますので、うまく解消できないかと日々、考えているところです。

 「人が集まりすぎて危険・迷惑だ」として、ポケモンが出現しないようポケストップなどの削除申請をする自治体や神社仏閣、公共機関なども出てきました。

宇都宮専務:迷惑だとか、危ないとか、そういったご指摘について、(ポケストップなどを削除するか否かの)最終的なジャッジはナイアンティックが行いますが、僕らとしても安心・安全なものであってほしいので、危険性があるのであればちゃんと申し入れをしていきます。

 ただ、非常に判断が難しい状況になっています。「削除申請をした」と報道されたところでも、丁寧にご説明を差し上げると、「やっぱり残してほしい」と撤回されるケースもありますし、要望を受けて削除したら、ユーザーさんから「何で削除したんだ」というお問い合わせをいただくこともすごくありまして。なので、一つひとつ協議をしながら進めていくしかないのかなと思っています。

「まだ、成功だとは思っていない」

宇都宮専務:僕はまだ、「成功した」と社内で言ってないんですよ。本当にそう思っていないんです。いわゆる「社会との折り合い」をつけないと、ポケモン自体のブランドを損なうことにもなりかねないし、その辺の舵取りを間違えるとプロジェクト自体の失敗にもなる。

 なので、僕は何とか社会に受け入れられる形で着地できて、初めてプロジェクトがうまくいったと言って、お酒を飲めるんじゃないかなと思っています。

 今後の進化についてですが、ハンケCEOは「ポケモンをユーザー同士で交換できるようにする」と明言しています。

宇都宮専務:当然、僕らも「ポケモンと言えば交換」というところもあるので、いろいろな問題をクリアできればやりたいなとは思っています。いつなのかは、言えないというか、分からないです。本当にサーバーの(負荷の)問題が結構、大きいので、それ次第かなと。

 引き続きどう楽しんでもらうか、長続きさせるかというのは、これから議論をしていきますが、長い目で見たら、「ポケモンって本当にいるんだ」という説得力をどんどんと上げていく方向にしていきたいですね。

 配信前、うまくいくかどうか分からず、「暗闇」にいた頃、僕は自分の子供と一緒にテストに参加していたんですけれど、そこで6歳の子が、「お父さん、ポケモンって本当にいたんだね」と言ったんですよ。それを聞いて、おおっ!といい意味でショックを受けたんですね。

 僕はずっとそのことを、自分たちを鼓舞するために、社内にもナイアンティックにも言っていましたが、何かそういう方向にプロダクトを発展させていけたら嬉しいなと、ポケモン側からはそう願っています。

*当連載は、日経ビジネス2016年8月22日号特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」との連動企画です。併せてこちらもご覧ください。