際限なく課金し続けることができない仕組み

ポケモンGOの「タマゴ」の画面。「ふかそうち」に入れて、タマゴに応じた距離を歩くと、ポケモンが出てくる

 ポケモンGOは無料で十分に遊べるが、課金アイテムも揃っている。例えば、前出のタマゴは、実際に歩いた距離に応じて新たなポケモンが生まれるアイテムで、様々なアイテムがもらえる「ポケストップ」に立ち寄ると、たまに出てくる。

 タマゴをかえすには「ふかそうち」が必要で、かえせるタマゴは、ふかそうち1つにつき1個。全員、無料のものを1つ持っているが、何個もタマゴを拾った場合、使用中のふかそうちが空くのを待たねばならない。タマゴからは捕まえにくい希少なポケモンが出てくることも多く、1つのふかそうちで地道にタマゴをかえすのが億劫なユーザーに、1個150円ほどの有料のふかそうちが人気となっている。

 どのキャラクターが出現するか分からないタマゴは、既存のゲームアプリの「ガチャ」と似ている。しかし内容は、似て非なるもの。既存のゲームアプリに比べて、極めて“良心的”と言える。

 既存ゲームでは、ハマったユーザーがお金を際限なく払い続けてしまうような仕組みが多く、希少なキャラクターの出現率が高いと謳ったガチャを1回300円ほどで販売するのが通例。狙ったキャラクターが出るまで、連続して数万円分を使ってしまうユーザーが一定割合存在し、それが大きな収益源となっている。翻ってポケモンGOはその逆を行く。

 例えば、希少なポケモンが出現しやすいと謳った「金のタマゴ」などを販売すれば、より儲かるはずだが、そうはしない。タマゴは買えないし、キャラクターを出現(孵化)させるまでに、「2km~10km歩く」という一定の時間を必要とする。加えて一度に持てる=孵化できるタマゴの量は9個という制限もある。つまり、連続してお金を支払い続けることができない仕組みなのだ。あくまでも、足を使って歩かない限り、強くなれない構造になっており、課金アイテムの効果は「補助」に過ぎない、というのが大きな特徴と言える。

 「課金をヘルシー(健康的)な水準にとどめたい」というのが、ナイアンティック側と、任天堂・ポケモン側の共通認識だった、というお話がありました(「前編」を参照)。

宇都宮専務:今の「ポケモンGO」でも、僕らはそんなに高いとは思っていなくて、安くしているつもりなんですけれど、ナイアンティックの人たちって、それ以上に、グリーディー(貪欲)じゃないんですね。

 もともと、グーグルのエンジニアの人たちって、「お金のことなんて考えるな、ユーザーのことだけ考えろ」というふうに徹底的に教育されているので、課金に対して、ものすごく嫌がるんですよ。なので、僕らは「独立した以上はお金が必要ですよ」とか言いながら、なぜお金をもらうことが必要なのかというのを、ナイアンティックのエンジニアの人たちに納得してもらうところから始めました。

 僕らもそんなにガツガツしていない方なのに、その僕らが「課金は必要」と説得するのはおかしくないか、と思いながらやっていたんですけれど(笑)。

 ポケストップに設置すると、周辺にポケモンが出現しやすくなる「ルアーモジュール」という課金アイテム(1個100円程度)も人気です。使うと「そこにユーザーが存在することが可視化される」、「課金した自分だけではなく、周辺のみんなに効果が及ぶ」という特徴が、ゲームの盛り上がりに一役買っています。