ポケモンシリーズのディレクターが徹底して調整

 「増田さん」というのは、ポケモンシリーズの制作を担当するゲーム開発会社、ゲームフリーク取締役開発本部長の増田順一氏のこと。その役割を知るには説明が必要だろう。

 ゲームソフトのポケモンは20年前、任天堂、ゲームフリーク、クリーチャーズという3社の協業で生まれ、その枠組みは今でも続いている。もともとゲームフリークを創業した田尻智氏が任天堂に企画を持ち込んだのが発端。そのあいだに立ってプロジェクトを調整したのが、現在ポケモンの社長を務める石原恒和氏が創業したクリーチャーズだった。

 ポケモンがヒットし、グッズ販売やアニメ化などが始まると、3社は煩雑な著作権管理のための会社を共同で設立した。これが2000年設立のポケモンである(前身は1998年設立のポケモンセンター)。

 石原氏がポケモンの社長に就くと、ポケモンは著作権管理に加え、プロデュースの役割も帯びる。だがソフトの開発・制作は一環してゲームフリークが担ってきた。このゲームフリークで、初代ポケモンからBGMや効果音を担当してきたクリエイターが増田氏である。増田氏は途中から、ディレクターとしてゲームデザインやシナリオなども手掛けており、ポケモンシリーズの「中軸」と言える。

ゲームフリークの増田順一氏(左)は、昨年9月に開かれたポケモンGO発表会にも顔を見せていた(写真:時事)

 増田さんは、具体的にどう関わったのでしょうか?

宇都宮専務:増田さんは、特に効果音にこだわるんですよ。ポケモンGOの開発中に、増田さんは「自分だったら効果音はこういうふうにする。これだけで面白さは全然違うからね」みたいなことを、よく言っていたんです。僕らはよく分からないので、「じゃあ、増田さんがやってくれませか」とお願いをしました。

 それで、例えば、ポケモンを捕まえる時の「ピチッ」という音とか、そういうのは増田さんが全部、細かく調整してくださって。遊んでいると、音楽が流れたり、ポケモンを捕まえたりする場面って、ものすごい回数になる。ここはある意味、増田さんというポケモンの源の人にやってもらうことで、ポケモンらしさを担保していったところがあります。

 アイテムの仕様や課金の仕組みなどは、どう決めていったのでしょうか。

宇都宮専務:お互いにアイデアを出し合っていったのですが、課金につながる部分は、ポケモン側で考えていったものが多いですね。例えば、「タマゴ」を歩いてかえす、というのは、ポケモンの本編にもあるので、これは「絶対にやりたい」と。

 僕らは細かくというよりは、「タマゴをやりたい」「そこをマネタイズにうまく使えると思う」みたいなことを言う。具体的なデザインに落としたり、持てるタマゴの量を「9個」にしたりというのは、ナイアンティック側が考えてくれました。