ポケモンを地方創生に生かしたい――。自治体や地元企業は集客手段としての活用を探るが、実際に現場に立ち会ってみると、まだまだ課題も多いのも事実だ。地方ではポケモンGOはどうプレーされているのか。今後ポケモンGOを集客の起爆剤とするには、何が求められるのか。
*当連載は、日経ビジネス2016年8月22日号特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」との連動企画です。

東北を代表する夏祭りのひとつ、秋田県秋田市の竿燈まつり。市内の大学に通う男性(22)は今年8月3日、久しぶりに足を運んだ。
高さ10メートルを超える竹ざおに約50個の提灯をつるして稲穂に見立て、五穀豊穣を祈るというこのお祭り。男性はもともと「混雑している場所は好きじゃなかった」。そんななか、約10年ぶりに繰り出すきっかけとなったのが「ポケモンGO」だった。
お目当ては秋田県の実証実験。祭り期間中に会場近くでポケモンが出やすくなるアイテム「ルアーモジュール」を使い、どれだけの集客効果があるか調べるというものだ。「ニュースで見て、様子を見に来てみた」。スマホ片手に笑う男性はいかにも楽しげだ。
企業や自治体、期待が先行
空前のヒットとなったポケモンGO。7月に配信が始まってからというもの、街はスマホを持って立ち止まり、画面を縦方向にフリックする(モンスターボールを投げる)人々であふれた。
これだけ人を動かす力があるとわかれば黙っていられないのがビジネスに携わる人間の性、というもの。企業や自治体が、これまでにない有力な誘客策として一斉に期待を寄せた。
ただし、ゲームの仕組みと、その集客ツールとしての限界が理解されぬまま期待だけが一人歩きしている面があることも否めない。代表例が地域格差だ。
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