平井知事:もっと言えば、ご家族連れも含めポケモンGOをしに来られた多くの方々が、さきほどの馬の背に上がるだけではなくて、別の鳥取砂丘も探し始めてくれたんですね。これも本当に嬉しいことなんです。

砂丘のポケストップは草の生えたエリアに密集している(撮影:菅野勝男)
砂丘のポケストップは草の生えたエリアに密集している(撮影:菅野勝男)

 例えば、ポケストップが密集している少し草が生えているところには今の季節、「ハマニガナ」という黄色いきれいな花が咲きます。それから、夕方から夜にかけては夕日が海に沈んでいく名所にもなりますし、夜に行きますとイカ漁のきれいな漁り火が日本海に広がるんですね。ポケモンGOは昼も夜も楽しめますから、観光だけなら気づかない、そうした別の顔にも出会うことができるんです。

 つまり、仮想空間と現実空間の組み合わせによって、今まで行かなかった場所や時間帯にお客さんが来るようになったことで、別の砂丘が出来上がった、砂丘観光の幅が広がった、ということだと思います。

 私どものようなところは砂に埋もれてしまうわけにはいかない。砂の上に出て発信をするタイミングを上手に掴みたかった、という背景もあります。ポケモンGOのために来たら、実は自然の宝庫だった、夜はこんな素晴らしい光景だったと写真に撮っていただいて、ネットにアップしてくれれば、我々としては正直、「もうけもの」なんです。

ナイアンティックと協議、砂丘でイベント開催も

 施策は続く。県は8月6日、「とっとりGO」と冠した特設ページを県のウェブサイトに設置。砂丘に加え、「名探偵コナン」の作者、青山剛昌氏の故郷や、水木しげるロード、宝くじが当たると言われている「金持神社」など、県内の名所とポケストップの密集地が重なっているエリアを順次、紹介していく計画だ。

 さらに、平井知事は「ナイアンティック側と、今後、どういう取り組みができるか相談している」とも明かした。ポケモンGOのベースとなっているイングレスでは、期間とエリアを限定したイベントを世界各地で随時、開催している。同様に、砂丘エリアに限定した“公式”のイベントが近々に告知されるかもしれない。

全国でも先駆けてポケモンGOを地方創生に活用している事例として、ナイアンティックも注目しているのではないでしょうか。

平井知事:そうですね。正直言うと、こうやってスナホ・ゲーム解放区と宣言したことに対して、ナイアンティックさんの方から熱い声を掛けていただきました。

 我々は、規制優先みたいな話が盛り上がっている時に、そこを冷静に考え、安全なところでマナーを守って楽しみましょうと発信したわけです。これについて、評価してくれていまして、これから、砂丘でどういう取り組みができそうか、先方といろいろ相談していけるんじゃないかと思っています。

 最近、鳥取県は「のっとり県」と言われていますが、取りあえず乗っかっていこうと。その意味で、多くの方に認知され、来ていただき、本当に、「もうけものGO」だと思っています(笑)。

当連載は、日経ビジネス2016年8月22日号特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」との連動企画です。併せてこちらもご覧ください。

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