平井知事:「スナホ」と言ったら、これはもう鳥取砂丘以外はどこも使えないでしょう。要は鳥取オリジナルの誘客政策にもなり得ると。幸い、先般まで「スタバはないけれど、スナバはある」などと騒いでいましたので、その連想もあるんじゃないかなと。これを週明け早々、月曜朝の記者会見で打たせていただいたら、一般紙からテレビまで好意的に扱っていただき、ばーっと広がりました。

ポケモンGOの配信以降、夜間に訪れる人が激増したことから、鳥取県は急きょ、砂丘入り口の階段に照明を設置した
ポケモンGOの配信以降、夜間に訪れる人が激増したことから、鳥取県は急きょ、砂丘入り口の階段に照明を設置した

 結構、そうした報道を見て来たくなった人がおられたみたいで、関西から来ました、東京から来ました、そういう方々もたくさんいらっしゃいますし、夜中でもお客様がなかなか途切れなくなっています。安全のために、砂丘入り口の階段に急きょ、LEDの照明を付けました。

現状、トラブルはありませんか?

平井知事:このシーズン、熱中症を一番心配していたのですが、少し体調を崩された方に「スマホゲームをしていましたか」と聞くと、皆さん「してない」と。砂丘に「馬の背」という小高い山があるのですが、暑い中、ここに駆け上がった後に体調を崩される方が多いんですね。

 ポケストップがあるエリアはこの馬の背ではなく、少し草が生えた平地のエリア。しかもポケモンGOの性質からして、ゆっくり歩き回るわけです。またスマホですから、緊急事態があればすぐ電話もかけられる。我々、以前からWi-Fi(無線LAN)を提供していますから、通信手段も万全。ですから、意外ですけれどもトラブルはまったくないですね。

「仮想と現実の組み合わせで別の砂丘が出来上がった」

経済効果もだいぶあるのでしょうか?

平井知事:そうですね。我々が解放区宣言にかけたお金は本当にわずかですが、それだけでお客様がたくさんいらっしゃる。砂丘の目の前のおみやげ物屋さんも、おかげさまで繁盛しています。2割くらいは伸びていると聞きました。

 正直な話、砂丘までスマホゲームだけをしに来るってあり得ないわけですよ。来たらやっぱり砂丘を楽しもうとなり、のどが渇くから飲み物を買おうとか、ご飯を食べようとか、泊まろうという話になる。

 さらに言えば、鳥取県には観光のパターンがあって、砂丘を「スタート地点」として周遊される方が結構、多いわけです。「大山」や「水木しげるロード」といった県内の観光地もそうですし、もちろん「出雲大社」や「天橋立」など山陰一帯を見て歩かれる方も多い。

 そういう意味で、我々として一番ありがたかったのは、夏休みのシーズンを前に、ポケモンGOをきっかけにして鳥取砂丘という目的地が多くの方々に認知されたことです。現に飛行機の予約率なども上がりましたし、これがやっぱり一番大きかったと思います。

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